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内容説明
新聞メディアの黎明期、ニューヨークの街をさわがせた男たちがいた。興行師や小説家、新聞記者もからんで、くりひろげられるニュースの争奪戦…「ヴェルヌの『八十日間世界一周』に挑む」のマシュー・グッドマンが描く、歴史ノンフィクション。
目次
第1部 太陽(ベンジャミン・デイの「口笛を吹く少年」;町のニュース;ハヤブサの紋章を受け継いだ男;マシアスの極悪非道の詐欺行為 ほか)
第2部 月(天文学的大発見;月への旅行;「その話が真実なら、最高に素晴らしい」;絵のように美しい月の景色 ほか)
著者等紹介
グッドマン,マシュー[グッドマン,マシュー] [Goodman,Matthew]
ノンフィクション作家として「THE AMERICAN SCHOLAR」や「Harvard Review」などにエッセイや短編を発表。タフツ大学、エマーソン大学などで創作文芸や文学を教えるほか、各地でブックトークを行い、ラジオ番組にも出演。現在、ニューヨーク・ブルックリン在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Miyoshi Hirotaka
20
新聞のイノベーションが1830年代の米国で起きた。魁は「ザ・サン」紙。識字率の向上、呼び売りの導入、高速印刷機の普及、タブロイド版の導入、日刊紙の価破破壊。各々は些細だが、合せ技で新聞社の収益は購読料から広告になり、新規参入が激増、発行部数は人口の約10倍になった。富裕層の知識人向けの編集は大衆化、興行化され、法螺話とその真偽論争に軸足が移り、剽窃や盗作が横行。無名時代のエドガー・アラン・ポーが巻き込まれた。記者の良心と今もいわれる「サンタクロースっているんでしょうか?」の掲載はこの大混乱から約60年後。2024/05/25
すけきよ
9
スクープ! 月に人類発見! こんな途方もない法螺話をなんで信じたの? と二世紀後の人間が言っちゃうのは簡単だけど、某作曲家とか、某細胞とかが、本質とは別にドラマ部分で大騒ぎしている状況が今も続いているんだから、マスコミも大衆も、200年間全く変わってないんだよね。月世界も記事を書いたリチャード・ロックの他に、新聞を活用した主人公といえる人物が二人登場する。エドガー・アラン・ポーとP・T・バーナム。実はバーナムの話の方が表題よりも面白いんだよなぁ。博物館を買い取るときの担保にした土地は震えが来るほど。2014/04/06
塩崎ツトム
4
フェリクス・J・パルマの「宙の地図」でも元ネタの一つとなっている「月面にいる生命」デッチ上げ事件を克明に描く。で、本の中でも言っている通り「事実は小説よりも奇なり」とは実に言い得ていて、先進的な思想を持っているがゆえにねつ造記事(「ねつ造」は少々酷か)を書いたサン紙主筆のアダムス・ロックに、事件で漁夫の利的利益を得た興行師バーナム、そして事件では一貫して昔話の「いじわるじいさん」ポジションに甘んじたエドガー・アラン・ポー(!)といった人物は魅力的すぎて、読後はもう、お腹いっぱい。2014/08/27
春風
4
いやあ面白い。月人発見記事を捏造した男の話。この記事が大評判になったせいでポーは「ハンス・プファール」の続編をあきらめ、やがて同じ新聞に嘘記事を書くもまったく評判にならなかったとか。2014/04/09
つまみ食い
2
現在もはや最もメジャーなメディアとはいいがたくなった新聞だが、その新聞が急速にアメリカで拡大していった時代(19世紀前半)をテーマにしている。現在も有力紙である『ニューヨーク・ヘラルド・トリビューン』の創業者や当時アメリカを熱狂させたホラ記事をでっちあげた編集者、そしてエドガー・アラン・ポーらの人生を軸にそうしたでっちあげの背後にあった思想(たとえば狂信への抵抗など)とそれが捏造とわかったのちも社会に割りに好意的に受け入れられた背景(例えば「自由に物事を判断する民主的権利」(397))などを論じている。2021/02/09