目次
最後のページ
読書すること(陰影を読む;黙読する人々;記憶の書;文字を読む術 ほか)
読者の力(起源;宇宙を創る人々;未来を読む;象徴的な読者 ほか)
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著者等紹介
マングェル,アルベルト[マングェル,アルベルト][Manguel,Alberto]
1948年、アルゼンチン・ブエノスアイレス生まれ。イスラエルのテルアビブで幼少期を過ごす。その後アルゼンチンへ戻り、16歳のときに盲目のボルヘスに朗読をする機会を得て、薫陶を受ける。1970年代にはフランス、イギリス、イタリア、タヒチなどで生活、カナダのトロントには20年以上暮らす。現在フランスに在住。数ヶ国語を操るポリグロットの作家、批評家として知られる。『読書の歴史―あるいは読者の歴史』は14ヶ国語に翻訳され、仏訳は1988年プリ・メディシ世界文学賞(ノンフィクション部門)を受賞
原田範行[ハラダノリユキ]
1963年生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了。博士(文学)。現在は東京女子大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
棕櫚木庵
12
たとえば今,この本の頁を適当に開いてみる.すると・・・晩年のコレットはベッドで過ごし,その左手の窓からはパレ・ロワイヤルの庭が見え,右手には,眼鏡,蔵書,そして猫がいた.彼女はこのベッドで,とりわけ古書を愛読した・・・(p.148).どの頁を開いてもこんな話があり,通読するとその芳醇に酔いそうになる.ボルヘスらが,古今東西の書物から断章を集めて編んだ『天国・地獄百科』は,楽しく示唆に富むが,通読するのは難しい.折に触れて気ままに開いて読む本だろう.本書もそういう本かもしれない. 2017/05/06
きゃれら
10
本を読む、という行為の始まりから、電子書籍直前までの歴史的なトピックを、テーマ別に語ってくれている。読書とはいかなるものであったのか、を総合的に語っているわけではないが、そうした思索を深めていける。本を読む自分とはどういう存在かについて、いろんな角度から考えるためのネタ本としてとても良い。本を読まずにいられない自分を、「ちょっと変かも」と思うことがある人にとっては、「決して一人ではない」と確認できる?!自分は図書館で借りて読んだんだけど、買って手元において何度も読み返すというのもありかなあと考えている。2021/02/24
吟遊
10
遊び心と博識に満ちた素晴らしい本。2020/01/09
nekosuke
10
圧巻の読み応えでした。文字を追い、文章を理解し、思うところを心に留め、次の本に手を伸ばす、という、自身にとって当たり前の行為の1つ1つに容易な道のりではない歴史があることを知り、読後に、今の読書できる環境に感謝を覚えることになろうとは、思いもよりませんでした。何度も繰り返し読みたい本です。2013/05/29
毒モナカジャンボ
5
読書すること、読者のありようからどこまで物事を考えられるか。本書はその可能性を極限まで詰めている。あくまで一読者としての視点を維持しつつ縦横無尽に展開される読書に関する論考を読んでいるうちに、読者はこの本を通じて著者その人を本の形で読んでいることになる。彼になり変わり彼の読書遍歴から編み出される読書理論を貪ることもできれば、広大な世界を指し示すブックガイドとして読むことも、ある種の小説として読むことさえできるだろう。翻訳家の精緻な読書の結果、日本語でより本質を掘り下げようとしたであろう翻訳家に感謝を。2019/11/01