内容説明
パソコン、携帯電話、電子書籍…さまざまなメディアに「文字」があふれている時代、本を読むということは、いったい何を意味するのか?生きるために、読む。生きているから、読む。本から始まり、時間や人の記憶にいたるまで縦横無尽に語る読書論。
目次
プロローグ 「文学は死んだ」?
第1章 物語の中の真実
第2章 この騒々しい世界で
第3章 もうひとつの時間、そして記憶
第4章 文学という鏡
第5章 本を本たらしめるもの
エピローグ それでも、わたしは本を読む
著者等紹介
ユーリン,デヴィッド・L.[ユーリン,デヴィッドL.][Ulin,David L.]
米ロサンゼルス・タイムスの文芸批評・担当記者。2005~2010年に読書欄を担当。同紙のほか「アトランティック・マンスリー」「ネーション」「ニューヨーク・タイムズ・ブックレビュー」などに寄稿している。カリフォルニア大学大学院で創作文芸を教えるほか、カリフォルニア芸術大学客員教授もつとめる
井上里[イノウエサト]
宮崎県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tαkαo Sαito
47
自分が「読書をやめない理由」は ー 心地良い状態で思いっきり〈呼吸〉するのを心が求めているからなのか ー 難しいテーマではある。この本が刊行された2012年より、 明らかに読書に没頭したり、集中すること自体が難しくなった現代。電子書籍、ニュースアプリ、テレビ、Youtube、SNSなどで情報が日々浴びせられる現代。それでも読書は安息の地であり続けて欲しいと願う2020/05/19
あやくら
26
ツイッター、フェイスブック、メール・・・たくさんの「少し気になる」に囲まれて現代を生きているうちに、寝食忘れて一気読みをすることが少なくなった。この筆者の境遇にとても共感しました。純粋に読書を楽しむことが少なくなってしまった気がするけど、それでも、私にとって「読書をやめない理由」は、いつまでも変わらない。自分の人生だけでは1通りの経験しかできないが、本(映画も)は無限の人生を経験させてくれる。無限の共感、無限の失望、無限の悲しみ、無限の希望が、読書を通じて静かに、時に激しく得られるかけがえのない喜びです。2013/10/18
kaze
18
絶え間ない情報の洪水は、大の読書好きで、文芸批評家という読書を職業にしている筆者のような人にも作用する。彼でさえ、本に向き合う集中力の欠如を感じるというのだから、私が集中できないのも無理はない。とはいえ、結局、本を読むのをやめない理由はそのアナログな没入感、その負荷ゆえに得られる心の静寂のためなのかなと思う。2022/02/19
ヨクト
18
テクノロジーがもたらすノイズ。世の中どんどん読書をする環境に変化が起こっている。その中でいったい私たちはどうして読書をやめないのだろう。ネット・SNSなどの文字を目にする機会は格段に増してきているなか、読書をする理由とは?読書でしかできないこととは?本書ではいろんな角度から読書について語られており、読書が最高で、ネットはダメ、なんていう見解には至っていないのは好感が持てる。でもちょっと難しかった。受動的ではなく、能動的・積極的に文字を読む行為に愉しさを見つけていけたらいいな。2012/10/09
たきすけ
16
著者はある時、読書に集中できなくなってしまった自分に気づく。長い人生で膨大に本を読んだ彼の言葉だからこそ、プロローグの告白には胸打たれ、読み手も危機感を持ってしまう。多角的に原因を探し、解決を図る本書であるが、その一項目の電子書籍については多くのページ数が割かれおり、本の存在について熱い考察が書かれています。また主題である集中できない原因(情報量の過多)は私達の身近にもたえず潜んでいます。意識して取り組む課題であると思いました。2015/06/26