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- > 日本の哲学・思想(戦後思想)
内容説明
国家的危機の時代における大学の使命とは何か。欧化一辺倒の東京帝国大学に学風改革を迫り、高度国防国家を標傍する政府とも命がけの思想戦を繰り広げた東大生たち。戦時体制下で宿命的に挫折した“日本主義的教養”の逆説を読み解き、日本型保守主義の可能性を探る。
目次
第1章 「右翼」は頭が悪かったのか―文部省データの統計的分析
第2章 政治学講義と国体論の出会い―『矢部貞治日記』を中心に
第3章 学風改革か自治破壊か―東大小田村事件の衝撃
第4章 若き日本主義者たちの登場―一高昭信会の系譜
第5章 学生思想運動の全国展開―日本学生協会の設立
第6章 逆風下の思想戦―精神科学研究所の設立
第7章 「観念右翼」の逆説―戦時体制下の護憲運動
第8章 昭和十六年の短期戦論―違勅論と軍政批判
第9章 「観念右翼」は狂信的だったのか―日本型保守主義の可能性
著者等紹介
井上義和[イノウエヨシカズ]
1973年長野県生まれ。2000年京都大学大学院教育学研究科博士課程退学。京都大学大学院教育学研究科助手、関西国際大学メディアセンター講師を経て、関西国際大学人間科学部准教授。専攻は教育社会学・学生文化論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぽん教授(非実在系)
1
統制経済と軍国主義を担う革新右翼と日本の国体を順守して共産主義だけでなくファシズム的な要素にも反対する観念右翼が近衛新体制以後対立を激化させ、後者の一部が東條内閣の戦争指導に反対したために東京憲兵隊に拘束されていく姿、というかなり斬新な歴史を描き出す意欲作。丸山真男によるファシズム解釈が如何に素朴であるかを暴露する内容である一方、教養主義の深さと複雑さについても考えさせられる。2014/05/05
もちょ
0
観念右翼という勢力の具体的な検討をしないとならないというか、そもそも観念右翼というのはかなり雑なくくりなのではないかと思った2016/01/24
毒モナカジャンボ
0
昭和10年代。一高昭信会が、日本学生協会が、精神科学研究所があり、小田村寅二郎が、田所廣泰がいた!原理日本を先に見ながら聖徳太子・明治天皇を範とし、当時帝国日本のポリコレとして機能していた国体に則り、彼ら精神右翼学生たちは東條内閣の戦争方針を、その最初期から国体に反するものとして糾弾する。小田村も田所も超エスタブリッシュ出身だがストレートに東大に進んだのではなく、そのことが近しい年代の丸山眞男的なものから袂を分つことになる。コネがすごいとはいえ異常な行動力組織力としか言いようがない。戦前右翼思想の可能性。2021/01/10