出版社内容情報
公すなわち大義名分のために死ぬことを説くエキセントリックな漫画が多くの読者を得ているなか、中国を「シナ」と呼んではばからない石原慎太郎氏が都知事となり近隣諸国に波紋を投げかけています。そして、こうしたナショナリスティックな現象を背景にして、一部のメディアを動員した「南京大虐殺否定論」が盛んに繰り返されています。今後いっそう日本の歴史認識を問われる場面が増えることが必至の状況を踏まえ、本書では「大虐殺はなかった」という説を13のパターンに分類し、その語りの構造を徹底検証します。「人口より多い数をどうやったら殺せるのか?」「戦争なんだから人を殺しても犯罪にはならないのではないか?」「証言や写真はウソだらけではないのか?」……といった素朴な疑問に対して、これまでのどの本よりもやさしく解説します。
執筆者=井上久士(駿河台大学助教授)/小野賢二(化学労働者)/笠原十九司(都留文科大学教授)/藤原彰(一橋大学名誉教授)/本多勝一(ジャーナリスト)/吉田裕(一橋大学教授)/渡辺春己(弁護士)(50音順)
1、「東京裁判によるデッチ上げ」説こそがデッチ上げ(藤原彰)
2、本当に誰もが南京事件のことを知らなかったのだろうか(吉田裕)
3、リアルタイムで世界から非難を浴びていた南京事件(笠原十九司)
4、戦争時期の中国側の認識について(井上久士)
5、数字いじりの不毛な論争は虐殺の実態解明を遠ざける(笠原十九司)
6、据えもの斬りや捕虜虐殺は日常茶飯事だった(本多勝一)
7、遺体埋葬記録は偽造史料か(井上久士)
8、虐殺か解放か――山田支隊捕虜約2万の行方(小野賢二)
9、国際法の解釈で事件を正当化できるか(吉田裕)
10、証言の不当な解釈で正当な事実認定はできない(渡辺春己)
11、妄想が産み出した「反日攪乱工作隊」説(笠原十九司)
12、南京大虐殺はニセ写真の宝庫ではない(笠原十九司)
13、歴史修正主義の南京大虐殺否定論は右翼の言い分そのものだ(藤原彰)
内容説明
「30万人虐殺でなければ南京大虐殺ではない」「南京の写真はニセものだらけ」「残虐行為は中国人の仕組んだ謀略だ」などの典型的な否定論をくつがえす、いまもっともわかりやすく、もっとも新しい総力批判の書。
目次
「東京裁判によるデッチ上げ」説こそがデッチ上げ
本当に誰もが南京事件のことを知らなかったのだろうか
リアルタイムで世界から非難を浴びていた南京事件
戦争当時中国でも問題にされていた
数字いじりの不毛な論争は虐殺の実態解明を遠ざける
据えもの斬りや捕虜虐殺は日常茶飯事だった
遺体埋葬記録は偽造史料ではない
虐殺か解放か―山田支隊捕虜約二万の行方
国際法の解釈で事件を正当化できるか
証言を御都合主義的に利用しても正当な事実認定はできない〔ほか〕
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