出版社内容情報
ヨーロッパ中世世界に生きた人々の身体・感情表現を歴史の対象として捉え,100点余の図版を使用して探る。日本の歴史学研究にも影響を与え続けるアナール学派の最先端の方法を駆使して当時の人々の心象世界を解明。
1 身体コミュニケーション
1 身振りのシンボリズム
2 ダンスのイメージ
3 スポーツの熱狂
4 衣服とモードの文化史
5 化粧と変装―悪魔の仕業か
2 身体に関する知・メタファー・迷信
1 ミクロコスモス=マクロコスモス
2 <聖なる>からだと<穢れた>からだ
3 医学と民間療法
4 清潔感と衛生管理
5 頭―魔力の居場所
6 心臓―愛と敬神の舞台
7 目・耳・鼻・口のメタファー
8 手足―聖なる力を伝える媒体
9 血と骨―生命の源と生命の回復
10 髪と髭―聖なる象徴か呪物
3 からだの<狂い>とこころの<狂い>
1 病気―罪の結果か受難の標か
2 狂気―悪魔憑きか神の使者か
3 <変身>と<畸形>への熱狂と恐怖
4 身体刑―神々への犠牲から理性の裁きへ
5 性的逸脱―「自然」に反する罪
4 感情表現の諸相
1 聖と俗の泣き笑い
2 嫉妬と羞恥
3 愛と悦びの発明
4 恐怖と苦悩―罪の悔悛と浄化
5 憤怒と憎愛のドラマ
6 声と表現によるメッセージ
5 5感の歴史
1 視覚―色彩と風景の抬頭
2 聴覚―日常生活における音
3 味覚―料理の味つけと食卓風景
4 嗅覚―聖なる芳香と地獄の悪臭
5 聴覚が伝える聖と穢
6 第6感―超自然界のメッセージ
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読書という航海の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
kasim
30
身体論で中世を読み解く。化粧、ミクロコスモス、体の各部分に託された意味、病気と狂気、五感と盛りだくさん。その分駆け足なのがもったいない。体は朽ち果てる卑しいもの、でも魂を反映する鏡でもある、という矛盾する身体観。傷つき苦悩するキリスト像は中世末期から現れる。無表情だった聖母像が微笑むのは13世紀から。チーズは狂人の食べ物。青の人気が赤にとって代わると、逆に赤は差別の対象に。塩辛さと甘さに役割分担がなく、甘辛味は普通だった。視覚が台頭すると聴覚と触覚の重みが薄れていく、などなど。2020/02/10
ぱなま(さなぎ)
21
中世ヨーロッパの人々の内面における身体・感情の位置づけについて、さまざまな項に沿って広く浅く概観されており、気になる項目についてより深く知りたいと思えば物足りなさはある。とはいえ抑制と発散を行き来する中世ヨーロッパ人の意識を推し量ることができ、ミニアチュールのような今日からはプリミティブにも思える図版が多数収録されているのは興味深かった。個人的には死の舞踏の実演についてが気になるところ。2019/05/06




