内容説明
大正新教育運動を担った「実際家」たちの成長プロセス。自らを「実際家」と称し、大正新教育運動の主体となった現場の教師たちは、当時いかにして摂取した情報を具現化し現場の改革に活かしていったのか。これまで研究の少なかった彼らの成長のプロセスを受容史研究の視点と方法を駆使して丁寧に解明し、実践の生動的実態に迫る。
目次
第1章 二〇世紀初頭の「実際家」による教育学改造―教育教授研究会の役割を中心に
第2章 及川平治「分団式動的教育法」の原点―宮城県師範学校時代を中心に
第3章 和久山きそによる保育研究・実践の実態と特質―自然研究のプロセスに着目して
第4章 平田華蔵における修養概念の深化―実際家による研究の臨床性
第5章 諸見里朝賢における理科教育改革への参画の意義
第6章 東京女子高等師範学校附属小学校における児童教育研究会の設立―実際家たちの群像とその研究態勢
第7章 大正期保育界における幼稚園発達構想―全国保育者代表協議会による「幼稚園令内容案」の検討を中心に
第8章 鶴居滋一における「環境整理」概念の理解とその実践―大正新教育期の教師による指導観の変容
第9章 倉敷尋常高等小学校における学習環境の構成―学校図書館および学級文庫の果たした役割を中心に
第10章 奈良靖規によるドクロリー教育法の受容とカリキュラム開発―大正新教育期公立小学校教師の修養
第11章 池袋児童の村小学校における「道徳の創造」―創設期「相談会」の実践を中心に
第12章 野村芳兵衛の「新教育」概念―「協働自治」の実践を中心に
第13章 北村久雄の「音楽生活の指導」の特質―唱歌専科教師におけるカリキュラム論の検討
著者等紹介
橋本美保[ハシモトミホ]
1963年広島県生まれ。1990年日本学術振興会特別研究員(DC)。広島大学大学院教育学研究科博士課程後期中途退学。東京学芸大学教育学部専任講師、助教授、准教授を経て、現職:東京学芸大学教育学部教授、博士(教育学)広島大学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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