目次
第1章 清初における六部の設置とその意義
第2章 清初入関前の内三院について―その構成員を中心に
第3章 ドルゴン政権と順治初年の政争
第4章 太宗・順治朝におけるグサ=エジェンとその役割
第5章 崇徳年間における太宗属下の旗人について―〓(じょう)黄旗を中心に
第6章 順治朝の皇帝権力と皇帝・旗王関係
第7章 順治帝親政期における側近機構の一考察―内三院・内閣、十三衙門を中心に
補論 清朝皇帝と三藩―三藩研究のための覚書
著者等紹介
磯部淳史[イソベアツシ]
1980年生まれ。2010年立命館大学大学院文学研究科博士課程後期課程修了。博士(文学)。2013~2015年大阪市立大学大学院文学研究科都市文化研究センター研究員。現在、立命館大学文学部非常勤講師。専攻は東洋史学(近世史)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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宣和堂
2
太宗〜康熙初期三藩の乱までが記述範囲。特にドルゴン期〜順治帝親政期の記述が多い。この時期の政治的な事件や旗王、グサエジェン、宗人府、六部、内三院・内閣、内務府・十三衙門などの構成や婚姻関係からその実態と勢力を究明する意欲的な内容で、およそこの時代に興味を持つなら必読。おもろかった。2016/04/10
Jirgambi
0
六部、十三衙門、宗人府、内三院、内閣等の制度的視点と旗人のパーソナリティから見たその起用の意図、また第6章に於ける、順治時代をドルゴン専権期のみならず、親政でもジルガランが摂政として幅を利かせた時期にも分け康熙時代へと接続させる知見は為になりました。個人的には杉山・谷井両先生の八旗制に関する知見を更に折衷していった印象(異論認めます)で、非常に面白かったです。2017/11/17
電羊齋
0
各種国家機関の構成員、制度及び皇族、旗王、旗人の婚姻関係、人間関係などから、初期清朝国家の性格を探る。従来「中央集権化」、「漢化」の図式で論じられがちだった六部、内閣、十三衙門など明制の導入、「皇帝・漢人官僚」対「旗王・権門」という図式化がされがちだった清初政局につき、具体的な検討を行っている。そして太宗、ドルゴン、順治帝の三つの政権いずれも旗王としての立場から八旗制の枠組の中で政権を構想していたことを指摘する。清初政治史の研究においては、これまでのような単純な図式化は不適切であることがよくわかる。2016/09/24