内容説明
太陽黒点の爆発により磁気嵐に見舞われる地球。その様子を私たちはオーロラとして目にしているが、磁気嵐の規模が大きくなるほど、現代文明に深刻なダメージを与えかねない。歴史上、そんな巨大磁気嵐が実際に発生していたのだとしたら。京都でもオーロラが観測される規模の磁気嵐があったとしたら。1度ならず何度も…。鎌倉時代の歌人、藤原定家が『明月記』に記した「赤気」の記録に導かれ、江戸時代、昭和、飛鳥時代へと続く、時空を超えたオーロラ探索の旅が始まる。
目次
第1章 『明月記』の赤気の謎(藤原定家と『明月記』;オーロラと磁気嵐 ほか)
第2章 『星解』に描かれたオーロラの謎(キャリントン・イベント;閃光と爆風 ほか)
第3章 タロ・ジロ・たけしと赤いオーロラの謎(巨大オーロラの絵画;扇形オーロラは普遍的か ほか)
第4章 『日本書紀』の赤気の謎(日本最古の天文記録は赤気;オーロラと神話 ほか)
著者等紹介
片岡龍峰[カタオカリュウホウ]
1976年、仙台市生まれ。2004年、東北大学大学院理学研究科博士課程修了。博士(理学)。情報通信研究機構、NASAゴダード宇宙飛行センター、名古屋大学太陽地球環境研究所で学術特別研究員、理化学研究所基礎科学特別研究員、東京工業大学理学研究流動機構特任助教を経て、国立極地研究所准教授。専門は、宇宙空間物理学。2015年、文部科学大臣表彰若手科学者賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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コットン
65
著者は専門家(2020年現在、国立極地研究所准教授)であるが、語り口は滑らかで藤原定家の『明月記』(1207年)から始まり、すくすく読める。巻頭のカラー画像や巻末の参考文献とともにQRコードによる動画リンクがあるのは嬉しい。 日本にオーロラが…!ってのがピンとこなかったのですが地磁気の北極はいつの時代も自転軸から10度位ずれているらしいのであり得るなと思いました。 そして、文系と理系による連携のオーロラ4Dプロジェクトも素晴らしいですね。2024/06/10
CABIN
37
理系作家伊与原新さんのおすすめ本。オーロラはアラスカやカナダなどの高緯度帯でしか見れないと思っていましたが、日本でも稀に見ることが出来るらしい。日本ではオーロラのことを「赤気」と言い、古くは藤原定家が『明月記』で赤気のことを書いていたり、更には『日本書記』にも登場するとのこと。オーロラが日本で見られるのは磁気嵐が起こった時で、この磁気嵐の規模が大きいと現代社会では電子機器が不具合を起こして大混乱になるらしい。『南極物語』で有名なタロ・ジロの出来事も、磁気嵐が要因の一つかもしれないことは興味深い発見でした。2024/09/29
なつみかん
12
読むだけで、オーロラを見てきた気になった。単純な自分だと思うけど・・・これは〝浪漫〟だ!2024/06/10
入道雲
11
日本でオーロラが観られたことから、Xで著者をフォローし、本書に辿り着いた。過去の日本人にも興味深い現象であることが著者の研究で明らかになり、様々な記録があることはとても面白い。文理融合から新しい知見や楽しみが生まれることも興味深い。 オーロラのメカニズムがコロナ質量放出と言う現象の見え方のひとつであることを知った。脇道ながら、南極のあのタロとジロだけでなく、たけしという猫がいたことも!2024/05/30
御座候。
9
日本書記に赤気の記載あり。また、中国最古の地理書である、山海経にも、オーロラの記載はあるらしい。2022/11/12