内容説明
本書は、科学者共同体の一部の成員が科学研究を進めるうえで、どのように政治的な影響力を及ぼしたり、裏取り引きを迫ったり、捏造をそそのかしたりしてきたかという点を、文献に基づいて裏づけたドキュメンタリーである。
目次
序章 科学の世界に不正は存在しないのか
1章 暴かれた不正取り引き―ピア・レビュー制度の弱体化
2章 巨額な研究資金のゆくえ―科学も良識も存在せず
3章 超大型科学と政治のゆがんだ関係―科学が政治に利用されるとき
4章 データの改竄とその後始末―基礎研究における不正行為
5章 汚れた収益―命よりも利益優先か?
6章 真理の追究よりも優先すること―科学研究における善悪の逆転
7章 ペンタゴン科学ゲーム―法外な研究開発の値段
8章 われわれの進むべき道は?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
シロクマとーちゃん
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科学と政治の関係は複雑だ。原題はINPURE SCIENCE(ピュアじゃない科学)。科学の悪用は政治の罪であるという考えはあまりにナイーブだ。大部分の科学活動は国民の税金で支えられている。その資金の配分決定の一部はピア(発音が似ていてまぎらわしいがピュアとは関係がない。同業者という意味。)レビューという形で科学コミュニティーによって担われている。科学の専門性と多様性を鑑み、ピアレビューという互助組合のような仕組みが正当化されてきた。しかし互助組合ゆえに不正も共謀して隠蔽しようとする傾向がある。2013/07/08




