内容説明
「女人禁制」をめぐり、仏教、儒教、キリスト教、ユダヤ教、イスラーム教、大相撲、出産での慣習、ネパールから、天皇制、アイヌ問題、沖縄から―など多角的に考察。「排除」と「差別」―日本軍「慰安婦」問題、部落問題、ハンセン病、トランスジェンダーからの論及も。「大峰山の『女人禁制』」に関するアンケート―全国会議員、奈良県議会議員の回答集約。
目次
「総論」(「女人禁制」の思想)
「宗教編」(「女人禁制」と奥駈け道;ユダヤ教と「女人禁制」 ほか)
「文化編」(オナリ信仰と男性原理の発生―沖縄の古層文化と女性―薩摩侵略以降の変容;女はあかん、聖地がけがれる!?―土俵の女人禁制 ほか)
「マイノリティ編」(公娼制度と戦時性暴力に見る女性支配の歴史;ハンセン病の近代史にみる排除と禁制 ほか)
資料編(「大峰山女人禁制」に関するアンケートについて;奈良県会議員、国会議員へのアンケートから見えてきたこと ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てくてく
8
大峰山女人禁制の開放を求める会が、大峰山をはじめとする、女性差別の諸相をまとめたもの。たとえばお宮参りに生みの母は参加できないとすることの根拠のなさ(神道側はその根拠を示せていない)、血の穢れの根拠のなさ、相撲の土俵に女性が立ち入ることを拒否することの合理的な理由の無さ、といった問題の他、沖縄、韓国などの女性差別も取り上げられており盛りだくさん。個人的にはアイヌ女性に対する和人男性の加害が興味深かった。2018/07/22
ひつじ
0
編者から大峰山の女人禁制の在り方について言及する内容かと思いきや、世界宗教や日本国内のみならず、世界各地において女性が如何に扱われてきたのかについて纏めた本となっています。非常に言い回しが難しいところがあるのですが、特に宗教と関わるところだと、それは男性側の問題であって、女性に規制をかけるのはおかしくないか?と改めてツラツラ思ったり...2025/06/30