内容説明
世界で唯一、合法の「児童性愛愛好者協会」。取材班は、手始めにぼくを児童性愛者として会に送り込むことを決定した。初めて出席する会合にそなえて、ぼくは児童性愛をとりあげた本を手当たり次第に読みあさった。インテリぶった理論的考察や、児童性愛者を頭から「変質者」と決めつけて身の毛のよだつ話に仕立てあげたものはたくさんあった。だが、秘密裡の生活を送る彼らの実像に迫るものは、まったくといってよいほどなかった。ペドファイルという言葉は、「子どもを愛する人」という意味のギリシャ語に由来する。性欲の対象が子どもだけに向かう彼らは、「一般の」人々とかけ離れたタイプと思われているが、実はそうではない。たとえば少女を誘拐し、森でレイプする男だけが児童性愛者なのではない。その一方で、彼ら自身といえば、“世間から偏見を受けている者”として自分たちを見なしていた。児童性愛者のネットワークに潜入するには、ぼく自身がペドファイルになりきらねばならなかった。ぼくは、「もう一人のぼく」への変身を準備していった…。
目次
児童性愛者協会
潜入プロジェクト
ベントの告白
少女モニカ
消えたスタンプ
密室の会合
少女を弄ぶ手―古いネガ
疑惑の罠
「眼で犯せ」―協会コンサルタント・スヴェン
魅力的な紳士・ケル
ホテル・カリフォルニア
スウェーデンの森
その男、グスタフ
グンブリット
ケルと少年、そしてインド
偽装と密告
黒い髪の女
檻の中の子ども
南インドの少年、サヴェリ
手引き
不機嫌な大臣
「審判」の日
呵責
著者等紹介
ビリング,ヤコブ[ビリング,ヤコブ][Billing,Jacob]
1966年生まれ。1999年デンマーク・ジャーナリスト・カレッジ卒業。同年、ラジオ番組『優しい扱いのもとで』でデンマーク・ラジオ報道賞受賞。2000年『デンマークの児童性愛者』で同年のテレビ・オスカー賞候補、「セーブ・ザ・チルドレン」の子ども人権賞受賞
中田和子[ナカタカズコ]
1966年慶応大学文学部独文科卒業。ハンブルグ大学、ロンドン大学に留学。現デンマーク在住。1994年WACOMM Translations設立
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感想・レビュー
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tomo*tin
多田幾多
mari
白黒豆黄昏ぞんび
乙郎さん