内容説明
岡林信康『手紙』『チューリップのアップリケ』、赤い鳥『竹田の子守唄』、泉谷しげる『戦争小唄』『黒いかばん』。闇に消えた放送禁止歌を追う―規制したのは誰?70年代フォークの魂がここにある…。
目次
第1章 テレビから消えた放送禁止歌(企画の出発点―闇に消えた放送禁止歌;企画着手―放送禁止の歌をどうやって放送するんだよ? ほか)
第2章 放送禁止歌、それぞれの具体的な背景(放送禁止歌と発売禁止歌;有線放送で流される放送禁止歌 ほか)
第3章 放送禁止歌・日本VSアメリカ―デーブ・スペクターとの対話(アメリカ初期の放送禁止歌―性を連想させる歌はご法度;アメリカ“表現の自由”をめぐる闘い―検閲は反対だが、創意工夫は必要 ほか)
第4章 部落差別と放送禁止歌(『竹田の子守唄』のルーツを訪ねて;大ヒットフォーク『竹田の子守唄』の系譜 ほか)
「放送禁止歌」掲載曲名リスト
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
39
放送禁止歌といってもネットが普及した現在は、テレビやラジオ界の言葉になってしまったのかもしれない。放送禁止歌と呼ばれた多くの曲が歌詞とともに紹介されている。しかし放送禁止歌という言い方は実は「要注意歌謡曲」と呼称するそうだ。差別、天皇制や障害者他に対する言葉が含まれる曲。ただこれはあくまでも放送局の自主規制であり、タブーとされる対象から抗議があった時に対処が大変だからというのが大半の理由ではないか。しかし」最近のバラエティーと称される番組こそ自主規制すべきと感想には関係ないが感じた。 2014/11/01
こよみ
17
結構前の本なので現代のメディアについても本を書いてほしいです2015/01/27
つちのこ
9
この本では、放送禁止歌の中でも、「差別」という重い社会問題を背景にして、闇に消えてしまった名曲を追っかけている。勉強になったのは「放送禁止歌」というのは法的に定められたものではなく、民放連が決めた「要注意歌謡曲」という定義によるものであり、実際には、憲法が定める「表現の自由」を妨げるものではなく、強制力の無い「放送基準」という内規よって「放送禁止歌」という幻想が生まれてきたことが分かった。 …というわけで、大きく出てしまうが、日本の歌謡史の光と影を知る資料としては貴重な一冊であった。(2000.9 記)2000/09/10
seichan
8
「放送禁止」というのは実は自粛要請にしか過ぎないのに、「禁止されてるから……」と規制や他人のせいにする、テレビなどの放送業界やメディアの腰砕け。 和をもって尊しと為すというと聞こえはいいが「事なかれ主義」が日本の通奏低音。 自分の信念に基づいて堂々と意見を闘わせるのではなく、触らぬ神に祟り無しを決め込む、集団で面罵する、裏でこそこそ言い募る……。それじゃ何の進歩も成長も得られないんだよなぁ。2019/02/08
ヨハネス
8
この本の存在は何年も前から知っていて、放送禁止になった歌の曲集かと思っていました。図書館の棚が模様替えになってやっと発見したのですが・・・興味本位な自分が恥ずかしくなる、立派な内容です。すごく、おもしろい!もちろん歌詞の紹介もありますが、放送禁止なんて実は存在しない。放送局及び日本人の、事なかれ主義の糾弾に話が及ぶというか、本の目的はそこなのです。101str.の「恋はみずいろ」の歌詞、大昔はあったのにすぐ流れなくなった。ピンクレディのsosも大好きだったのにあの曲だけいつも抜いてある・・みんな自主規制。2017/04/15