目次
第1部 屠畜について教えてください(屠場ってどんなところ?;豚や牛はどうやって運ばれてくるの?;豚はどうやって殺すの?―豚の屠畜(1) ほか)
第2部 牛や豚はどうやって育てられているのですか?(私たちの食べている豚ってどんな種類なの?;「三元豚」と「ブランド豚」ってどんな豚?;豚はどうやって育てているの? ほか)
第3部 お肉がおうちに届くまで(枝肉は誰に売られているの?;枝肉を買った食肉問屋はそれをどうやって売るの?)
著者等紹介
栃木裕[トチギユタカ]
1957年3月鹿児島県阿久根市生まれ。1985年東京都中央卸売市場食肉市場作業第二課入職。2017年定年。再任用職員を経て2019年退職。入職と同時に全芝浦屠場労組加盟。2013~2017年委員長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たまきら
38
芝浦の屠畜場を仏教団体主催のイベントで訪れたことがあります。その時一番心に残ったのが、当時労働組合委員長だった栃木さんの言葉です。この本を読みながら、あの時見せていただいた技術やことばが鮮烈によみがえりました。仕事に誇りを持ち、素晴らしい技術を持っている人たちが日常的に受ける差別には、「製品を受け取る側」である者として恥ずかしく思ったのも覚えています。後の飲み会で、「実は鶏肉好きで…」と笑ってらしたっけ。これからも舌鋒鋭い栃木さんでいてね。2021/05/31
今庄和恵@マチカドホケン室/コネクトロン
20
動物の肉を食べることと、動物福祉とのダブスタへのファイナルアンサー。命をいただくのではなく、その工程に携わる方々に感謝をする。動物のためを思うことは=肉質を落とさない。ここまでおいしい肉を食べることしか考えられてない。ヴィーガンでない限り、潔く頭を垂れよう、お肉はおいしいって。お肉を食べている人、必読です。綺麗事、言っちゃダメ。もしくは自分が肉を食べることを徹底的に綺麗事にする。2024/02/07
tomatobook
7
定年まで芝浦の屠場で働いてきた著者。“はじめに”と“おわりに”に著者の思いが強く詰まっている。屠畜はやりがいのある楽しい仕事という。いのちをいただくなどという免罪符はいらない。豚や牛などの家畜は『経済動物』だ。命を食べて、次の命は育まれる。このような「自然の大原則」があるはずなのに、それを無視して「動物を殺すことはかわいそうだ」と屠場の仕事を差別したり否定するのは間違いだ。芝浦の「お肉の情報館」がコロナ禍のためずっと閉鎖中、残念。2022/04/17
KOBAYASHI Masahide
4
一気に読了。目次ではおそらく気づかないが、最後にコラムが怒涛の6連発。ふつう、コラムはほどよく散らす幕間ですよね...。そこに訴え。関係者ならではの、豚肉の宗教的禁忌についての考察も興味深い。「腐りやすい」は予想通りだが、「食べる以外にほとんど利用価値がない」「(飼育が)中東に向かない」「飼育にコストがかかる」も指摘。また、日本の食肉禁忌についても独自の考察。全体を通して、差別やタブーは当然として、「感動ポルノ」も拒否する姿勢が貫徹。2021/04/25
じじちょん
3
ナイフよりもヤスリの方が大事な道具であることや、感染に配慮した内臓処理の方法、作業時間が秒単位というのも驚きだった。さすがプロの仕事ですわ。スーパーの味付けブタ肉でたまに臭いのあるけど、あれってやっぱり未去勢雄を加工してるんだな。「豚殺してるの?」ってまぁ、ストレートな聞き方する子もいるんだな~。たしかに殺して肉にする仕事だけど、感情論とは別にして数多くの「仕事」の一つとして捉えてほしいという筆者の思いは共感できる。『焼き肉を食べる前に。』という絵本でも筆者の対談が載っている。2025/01/26