内容説明
爆撃を受け、街に残された建物が絞り出すような声で語ってくる。「壊された私たちでも伝えることはできます。」戦場から戻ってこない息子を待ち続けるおばあさんのこと。赤ん坊が生まれたことを、まだ知らない若者に見せたいと、胸に紐でくくりつけ、走って行った少女のこと。
著者等紹介
エイドリゲーヴィチュス,スタシス[エイドリゲーヴィチュス,スタシス] [Eidrigevi〓ius,Stasys]
美術家。1949年リトアニア生まれ。1973年ヴィリニュス美術大学卒業。1980年ポーランド、ワルシャワへ移住。創作活動は、蔵書票、ブック・アート、ポスター、彫刻、演劇、映画など多岐にわたる。絵本に『ながいおはなのハンス』(ほるぷ出版)、『スノー・クイーン』(西村書店)など。受賞歴は「ブラチスラバ世界絵本原画展」グランプリ受賞、「世界ポスタートリエンナーレトヤマ」金賞受賞など多数。2024年にSTASYS MUSEUM(スタシス美術館)がリトアニア、パネヴェジス市に開館予定
中川素子[ナカガワモトコ]
絵本・美術評論家。1942年東京生まれ。1965年東京芸術大学美術研究科修了。単著に『絵本はアート』(教育出版センター、日本児童文学学会奨励賞受賞)など、著作多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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たまきら
36
こういう状況下でアーティストにできることは何だろう。戦争なんて絶対嫌だ、それがクリエイターの共通認識ではないでしょうか。そして同じ気持ちの人の「かたち」を見せてもらった気がします。読み友さんの感想を読んで。2024/03/26
ヒラP@ehon.gohon
11
【再読】大人のための絵本2023/12/26
遠い日
2
『スタシスさんのスポーツ仮面』と同じコンビですが、こちらはタイトルからもわかるように、反戦の絵本。絵が怖いです。ところどころ用いられた写真の加工画も。全てがメタファーでしょう。平和を渇望する心があるならば、見ることを止めるなと語りかけてくる。2023/10/30
たくさん
1
戦争の暗さが絵の感じや写真からよく感じられる。鳥がこの作者にとってとても共感感情移入できるしたい存在なんだろう。前向きなアクションや行為で進もうとする表現も暗い中から光を求めるようで暗いものの中から光を見出すときにしか出ないような雰囲気があります。どうしても直接的な表現でなくわかりにくくて長い文章になるけれど絵や写真のちからもとても素晴らしいように私は感じました。2023/10/14