出版社内容情報
「きょうはわたしのたんじょうびです。66さいになりました」と始まる日記は、学校に行けずに苦労したおばあちゃんの日常がいっぱいです。苦労をものともせず元気にユーモラスに生きる、文字を獲得する喜びにあふれた絵本。
文字を知らずに生活することは、過酷です。この絵本は、文字を獲得していく人の日常をユーモラスに描き、文字が読めるようになる、書けるようになる、喜びが表現されています。
著者等紹介
長野ヒデ子[ナガノヒデコ]
1941年愛媛県生まれ。絵本やエッセイ、紙芝居など幅広い創作活動を続ける。『とうさんかあさん』(葦書房、復刊は石風社)で第1回日本の絵本賞・文部大臣奨励賞、『おかあさんがおかあさんになった日』でサンケイ児童出版文化賞、けんぶち絵本の里びばからす賞、『せとうちたいこさんデパートいきタイ』(いずれも童心社)で日本絵本賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヒラP@ehon.gohon
18
絵本の最後に書かれていることは、とても大事です。 この絵本の日記。 実は書きたいことを孫の司君に話して、その話を文章にしてもらった上で、間違いのないように書き写していたのだと知らされるからです。 そして、その後に一子さんが自分自身で書いた日記の写し。 とても癖のあるひらがなで書かれているだけでなく、間違いがあったり、句読点がなかったり…。 読み聞かせをするには、自分も何度もつかえてしまい、さらに判読してから読み直したり苦労しました。 しかしその中に一子さんの強烈な感情、悔しさと伝えたい願望が溢れています。2009/07/01
ひろさん
17
町田そのこさんのオススメで読んでみました。 幼い頃に母親を亡くし、誕生日もわからない状態で名前を決めてもらい、戸籍は作ってもらえましだけれど学校には通えなかった吉田一子さん。 60歳をすぎてから学びだした実話を元に描かれた絵本。この日本でも文盲の方がいた事実に驚き、学ぶことの尊さに感動します。孫の存在は力になりますね。2023/10/08
takukeimama
17
子供のために借りてきた本だが、思わず私が読みふけってしまった。銀行のシーンでの口惜しさがとても感じた。孫が先生っていいですね。良い絵本に出会った。2013/11/14
いろ
14
60歳を越えて字を習うおばあちゃんの日記ベースのお話。長野ヒデ子さんの絵が内容をとても親しみやすくしてくれている。9歳男児には,あまり面白い絵本ではなかったけれど,歴史というか,社会情勢というか,そういうものを感じることが出来る意味では,読んでよかったと思う。同居の孫つかさ君がとても自然に温かくおばあちゃんの状況を受け入れていて,それがすごく心地よかった。息子と「つかさ君,いいね~。」とうなずき合った。やっぱり異世代が同じ生活圏にいるって大切。あと,駅の落書き,言われて初めてそのとおり!激しく同意。2018/02/05
バニラ風味
13
以前、長野ヒデコさんをお招きして講演会をしていただいた時、この絵本を書いたいきさつを伺いました。字の読み書きができるのが当たり前、という時代に、それができなかった主人公は、さぞ、お辛かったでしょう。色々苦労はあっても、ついに字を書く事ができ、孫と手のやりとりができた時、その喜びは、言葉には表せないほどだったと思います。字を書き、読み、やりとりする相手がいるのは幸せなことですね。当たり前と思われること。でも、それが「本当は幸せなことなんだ」と感じることができます。2014/05/13