内容説明
心の中の辞書は、単に単語がリストされ記憶されている場所なのだろうか?本書では、いくつかの具体的な言語事象を取り上げて、心的辞書が「語の文法」と呼べるような規則性を有することを示すと同時に、話者の日々の経験に根ざす豊かな情報を含むことを明らかにし、そのような情報をもとに新たな語を作り出したり、文脈にそった解釈を柔軟に生み出すダイナミックな側面があることを明らかにしていく。
目次
1 動詞・名詞の意味と文法(心的辞書には何が在るのか?;語彙の意味記述と文法;語彙の意味と百科事典的情報)
2 語彙意味論と語形成論(語形成の仕組み;語構造と句構造の違い;二つの名詞を結合した複合語 同じ石でも?―石臼と石頭、軽石、庭石にすずり石;英語の名詞転換動詞の意味と統語―コショウはふりかけ(‘pepper the fish’)、骨は除く(‘bone the fish’)?
二つの動詞を結合した日本語の複合動詞―言い交わした彼女との生活を思い描き、寝静まった街を歩きまわっていると、子猫が這い寄ってきたので抱き上げてやった
英語の動詞から作る派生動詞―overrunは行き過ぎたこと、ではoversleepは何を過ぎるの?)
著者等紹介
由本陽子[ユモトヨウコ]
1987年大阪大学大学院文学研究科修了。1997~1998年ロンドン大学SOASに留学。2005年第24回新村出賞受賞。現在、大阪大学言語文化研究科教授。文学博士(大阪大学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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