内容説明
主語・述語からなる文と、文を連ねた言説との間には、意味や文脈情報において大きな違いがみられる。言語活動の全域に迫るには、語・文から言説にまで分析対象を拡大し、同時にことばを操る人間のふるまい・認知・価値観・社会文化・時代相などとの関係を考察する必要がある。そうしてはじめてことばに埋め込まれている話し手の思いや主張を正確に把握することができ、諸言語間の普遍性や多様性を知ることができる。
目次
第1章 ソシュールと時枝の対立点から何を学ぶか
第2章 言語分析いろいろ
第3章 言語とは何か
第4章 言語は何のためにあるのか
第5章 構造と機能
第6章 日本語と言語類型
第7章 言語表現とコンテクスト
第8章 情報の役割:その光と影
第9章 ことばが力を失ったあと
第10章 言語分析への提言
著者等紹介
児玉徳美[コダマトクミ]
1935年、広島県生まれ。1958年、神戸市外国語大学英米学科卒業。1975年、ロンドン大学留学。現在、立命館大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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とーとろじい
2
ソシュールと時枝の相違点、コンテクストの章は面白かったが、全体として同じ内容を繰り返す構成になっていて、後半の(出版時点での)政治の詳しい状況説明になると、飽きと同時に何の本なのかわからなくなるほどだ。言説分析の重要性はわかったが、それが政治の分析批判だけを意図しているようにも思われかねない。一方で、日本語の性質(聞き手志向、自称・他称詞の豊富さとそれに組み込まれている上下関係、時間の流れに沿う文形式)の話は興味を引かれる。ことばの力が弱まっている現代に対して、もっと具体的な対策例をあげて欲しいものだが。2018/10/30