出版社内容情報
東京・八王子にある大正十年創業の「本庄呉服店」。
その二代目店主の養女・琴子と三代目店主の次男・柿彦は姉弟のように育ち、現在はリユース着物の「本庄の蔵」でともに働いている。
柿彦は店長、琴子は古着の査定役だ。
幼少時から着物に宿る記憶が視える彼女は、いわくのある着物を見抜くことにも一役買っていた。
ある日、ふたりは出張買取に行った先で、戦前のものと思われる椿の柄の銘仙と出会う。
気になって仕方がない琴子は……。
織物の町で繰り広げられる、優しい記憶の物語。
内容説明
東京・八王子にある大正十年創業の「本庄呉服店」。その二代目店主の養女・琴子と三代目店主の次男・柿彦は姉弟のように育ち、現在はリユース着物の「本庄の蔵」でともに働いている。柿彦は店長、琴子は古着の査定役だ。幼少時から着物に宿る記憶が視える彼女は、いわくのある着物を見抜くことにも一役買っていた。ある日、ふたりは出張買取に行った先で、戦前のものと思われる椿の柄の銘仙と出会う。気になって仕方がない琴子は…。織物の町で繰り広げられる、優しい記憶の物語。
著者等紹介
ほしおさなえ[ホシオサナエ]
1964年、東京都生まれ。作家・詩人。95年「影をめくるとき」で、第38回群像新人文学賞優秀作受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
168
古き良きものにスポットを当てるほしおさなえ作品。こう呼ばせてもらいます。“温故知新のほしおさなえ”。今作は着物。舞台は八王子。家庭が複雑であり、琴子と柿彦は姉弟のように育つ。その二人は今、リユース着物の“本庄の蔵”で共に働く。琴子は、着物に宿る記憶が視える能力を持つ。着物を通して、昭和の良さ、悪さを伝えようしてるのか。今作では、戦争は悲劇であり、悲しみ、不幸しか呼ばない。戦争の愚かさを、今の若者に伝えようとしてるのかなと思った。続編があれば、どんな時代背景を見せてくれるか楽しみである。2024/09/30
のぶ
106
今回は銘仙の着物についての物語。主な舞台は八王子にある大正十年創業の「本庄呉服店」だったけれど、八王子が昔から着物で栄えてきたことを初めて知った。そこで着物に宿る記憶が見える琴子が主人公で、彼女はいわくのある着物を見抜くことにも一役買っていた。個人的に、自分の母と祖母が自宅で呉服の仕立てをしていたので、こんな世界は昔から馴染みがあった。この先これがシリーズになっていくのだろうか?だとすれば琴子と柿彦の今後の活躍に期待が高ぶる。月光荘の話同様に優しい作品でした。2024/08/25
mayu
60
持ち主に大切にされた着物には、持ち主とともに過ごした時間の記憶がある。持ち主を包み込んで、感じる心もあるのかもしれない。ほしおさんの新シリーズは、着物に宿る世界に浸り、込められた想いを知ることができる琴子が主人公。かつて絹の町として栄えた八王子のリユース着物を扱うお店で働いている。そこで出会ったのは椿の銘仙。着物の柄と同じ名を持つ少女とまた別の花の名を持つ少女との交流、戦禍の中で失われたもう戻らないもの。着物に秘められた戦時の記憶は重く悲しいものだったけれど、想いを受け継ぐ優しさと儚さを持つお話だった。2024/08/28
ポチ
49
家の声が聞こえる月光壮から着物の記憶が見える琴子へかな。優しい話なのだがあまり惹き込まれなかった。着物に関心がないからか。2024/08/31
よっち
38
八王子にある「本庄呉服店」。その二代目店主の養女・琴子と三代目店主の次男・柿彦が出張買取に行った先で、戦前のものと思われる椿の柄の銘仙と出会う物語。現在はリユース着物「本庄の蔵」でともに働く店長の柿彦と幼少時から着物に宿る記憶が視える琴子が、いわくある着物から失われた過去に繋がってゆくストーリーになっていて、戦時中の着物に秘められた思いには切ないものも感じましたけど、それに真摯に向き合おうとする琴子の姿がなかなか印象的でした。特に恋愛感情もない親戚くらいの距離感の柿彦との距離感もこれはこれで良かったです。2024/09/06
-
- 洋書
- The Holding