出版社内容情報
小さな幸せが暮らしの糧になる──当代一の売れっ子作家・曲亭(滝沢)馬琴の息子に嫁いだお路。
横暴で理不尽な舅、病持ち、癇癪持ちの夫とそんな息子を溺愛する姑。
日々の憤懣と心労が積もりに積もって家を飛び出たお路は、迎えに来た夫に「今後は文句があればはっきりと口にします。それでも良いというなら帰ります」と宣言するが……。
修羅の家で、子どもを抱えながら懸命に見つけたお路の居場所とは?
直木賞作家の真骨頂、感動の傑作長編。(解説・植松三十里)
内容説明
小さな幸せが暮らしの糧になる―当代一の売れっ子作家・曲亭(滝沢)馬琴の息子に嫁いだお路。横暴で理不尽な舅、病持ち、癇癪持ちの夫とそんな息子を溺愛する姑。日々の憤懣と心労が積もりに積もって家を飛び出たお路は、迎えに来た夫に「今後は文句があればはっきりと口にします。それでも良いというなら帰ります」と宣言するが…。修羅の家で、子どもを抱えながら懸命に見つけたお路の居場所とは?直木賞作家の真骨頂、感動の傑作長編。
著者等紹介
西條奈加[サイジョウナカ]
1964年北海道生まれ。2005年『金春屋ゴメス』で第17回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、デビュー。12年『涅槃の雪』で第18回中山義秀文学賞、15年『まるまるの毬』で第36回吉川英治文学新人賞、21年『心淋し川』で第164回直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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タツ フカガワ
61
読本作家の舅、馬琴は頑固で人嫌い、姑のお百は癇癪持ちで、その息子で医師の宗伯は蒲柳の質で両親の悪いところばかりを受け継いでいる。そんな曲亭(滝沢)の家に嫁いだお路の愛憎渦巻く家族ドラマが生々しい。なかでも失明した馬琴と『南総里見八犬伝』を口述筆記するお路との修羅場が凄まじかった。各人物の造形も素晴らしかったし、お路の視点で描かれる馬琴像もお見事。余韻豊かなエンディンもよかった。2024/12/28
ちゃとら
49
【図書館本】今年『八犬伝』の映画を観て、山田風太作の原作本が気になっていたが、偶然、西條奈加さんが描いた曲亭馬琴の家族の話を見つけた。磯村隼人が演じた宗伯は病的な癇癪持ちで、そのせいでお踏は流産までしている。馬琴の家は舅姑も個性強すぎ、そして病気に付きまとわれ死が近すぎた家。黒木華演じた嫁のお路は、本の中ではもっと強い女性だった。家族の看病を一手に引き受け、目が見えなくなった馬琴の代筆まで引き受けた。壮絶な女性の一生が馬琴の八犬伝の陰にあった。一気読みの面白さでした。2024/12/23
シフォン
35
曲亭(滝沢)馬琴の息子の宋伯に嫁いだお路。馬琴って、そんな人だったのか。後世に名を残す人は、影で支えてくれた人がいることが多いような気がするが、馬琴の場合は息子の嫁のお路だったということなのね。お路目線で書くことにより、馬琴の横暴さ、滝沢家の異様さが際立ってくる。横暴な舅、癇癪持ちで病人の夫、わがままな姑の面倒をみながら子供たちを育てたなんてほんとに偉い。なんで逃げ出さなかったのだろうか、お路のおかげで南総里見八犬伝は完成したと思うともっと感謝してあげてほしい。2024/08/03
エドワード
33
曲亭馬琴の「南総里見八犬伝」、今でも大人気の物語だが、老年に失明した馬琴の語りを、嫁のお路が口述筆記したことは、知っている人しか知らない逸話だ。群ようこさんの「馬琴の嫁」も以前に読んだ。この一家、狷介で不寛容な馬琴、癇性の姑と夫、重苦しいこと最上級だ。そんな家で孤軍奮闘、明るさを失わないお路の魅力が印象的だ。病弱な家族が次々と世を去る。最愛の息子、太郎まで先に逝く。そんな悲しみの極みで八犬伝の口述筆記を引き受けるのだから驚きだ。彼女がいなければ、現代の私たちは八犬伝を楽しめないのだから、感謝この上ないね。2024/01/15
のびすけ
32
馬琴の家に嫁いでいなければ、後世に名を残すこともなかったであろうお路。視力を失った馬琴の筆記助手として、口述筆記により里見八犬伝を完成させる。一口に口述筆記というけれど、馬琴が語る言葉を正確な文字で書き留めることがこれ程までに困難を極める過酷なものだったとは思いもよらなかった。尋常ではない滝沢家で、ひたすら苦労と努力を重ねたお路には頭が下がる。2023/09/04
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