内容説明
背景が真っ黒の、ちょっと不気味な謎サイト。そこには「あなたのための時空の狭間が、ここにあるかもしれません」という一文と、十二桁の数字が並んでいる。数列は年月日と時刻で、日付に心当たりのある人が、その時間へ戻れるのだという。結婚前の最後の誕生日に、自分の生まれた日にタイムスリップした由真が出会った人とは!?(「誕生日をプレゼント」)。家族の涙、あの日の後悔…ほんの少しだけあなたの「今」を明るく変える、やさしい時の旅の物語、全五篇。
著者等紹介
矢崎存美[ヤザキアリミ]
埼玉県生まれ。1985年、星新一ショートショートコンテスト優秀賞を受賞。1989年に作家デビュー。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
175
人には人生の選択、勝負、あるいは当時の出来事がどんなんだったか見てみたいという気持ちが必ずあると思う。そんなちょっとの時間だけタイムスリップして、今を明るく変えれる物語。“あの日 あの時 あの場所で 君に会えなかったら”と脳内で小田和正の曲が駆け巡る。どこか切なさもあるが、柔らかい優しさに包み込まれる五篇の短編だった。もし、謎めいた一文と数列が並んでる不気味な謎サイト。過去の時間に戻れるとしたら、あなたは迷わずクリックしますか。信じるか信じないかはあなた次第です。今を大切に生きたいと思う物語だった。 2021/12/16
シナモン
139
今考えるとあの時が人生の岐路だった…そんなことを思うことってある。パソコンの謎サイト、心当たりがある数列を見つけた人だけが過去に戻れる~そんなサイトを見つけたら私ならどうするだろう。過去を変えれば今の生活は違ったものになるわけで…。でもこうじゃなかったら…。いろいろ考えた。「たまたま自分を含めた身内が健康でその都度なんとかできる程度の問題のみで人生を過ごしてきただけ。それがどれだけ幸せという幸運なのか」という文章が沁みた。2022/01/03
ケイト
66
突然サイト上に黒い画面を背景に、赤い文字の羅列や12桁の数字が現れる。「あなたのための時空の狭間が、ここにあるかもしれません」と言う怪しげな言葉。忘れられない日付けに気づいた人達が、タイムトラベルに導かれる。過去に関わったことで、少し違った未来が見えてくる。その中でも『メッセンジャー』『父のかわりに』がとても好き。孫がおばあちゃんのために、息子が父の変わりに、各々の記憶の中に閉じ込められていた想いを掘り起こす事が出来て、本当に良かった(涙)2022/02/23
キラ@道北民
29
不気味な謎サイトにたどり着くと「あなたのための時空の狭間が、ここにある」と……ほんの少しだけ「今」を明るく変える、やさしい時の旅の短編集。あの日に戻れたらという思いは、よっぽど失敗を悔やみ何度もこうしていたらと考えを巡らせてきた人にしかないだろうから、過去に戻って状況はそれほど変わらなくても、気持ちの変化で今が生きやすくなるのがいい塩梅で描かれていました。2021/12/22
coco夏ko10角
24
時の旅の物語、5つのお話収録。おかしな色使いに十二桁の数字…うーん、怪しい。だからこそ何か縁のある人だけなのだろう。『最後のファン』あぁ、その時に行ってそれをするのか、と…。この本の設定が活きててとてもよかった。シリーズ化するかな。2022/07/20