出版社内容情報
集団就職で上京した郷子は、劣悪な環境に耐え切れず、職場の工場から逃亡した。
そんな時、浅草にある「洋食バー高野」のおかみ・とし子に助けられ、そのまま店で働けることになった。
周りの人たちの温かさに触れ、徐々に自分の居場所を見つけられるようになってきた郷子。
そんな折、お客さんから心ない言葉を浴びせられ、心臓が早鐘を打ち出す。
急に息苦しくなり、身体に異変を感じるが──。
温もり溢れる料理と人々を描いた優しく沁みる物語。
内容説明
集団就職で上京した郷子は、劣悪な環境に耐え切れず、職場の工場から逃亡した。そんな時、浅草にある「洋食バー高野」のおかみ・とし子に助けられ、そのまま店で働けることになった。周りの人たちの温かさに触れ、徐々に自分の居場所を見つけられるようになってきた郷子。そんな折、お客さんから心ない言葉を浴びせられ、心臓が早鐘を打ち出す。急に息苦しくなり、身体に異変を感じるが―。温もり溢れる料理と人々を描いた優しく沁みる物語。
著者等紹介
麻宮ゆり子[マミヤユリコ]
1976年埼玉県生まれ。2003年、小林ゆり名義にて第19回太宰治賞を受賞。2013年「敬語で旅する四人の男」で第7回小説宝石新人賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
188
シリーズ二作目。シリーズが続くようなら、なかった方向性は郷子の成長物語になりそう。でも舞台は洋食屋さんだから、食べたくなるものもメニューに登場する。めちゃめちゃ煮込みハンバーグが食べたくなった。郷子の引け目を感じながらも、頑張る姿に共感が持てる。客もそうだが、一歩店から外に出れば、イヤな奴、意地悪な奴がいるもので、郷子よ、自分の生い立ちに引け目を感じず、どんどん知識を吸収して、前に進んでほしいな。浅草、行ったことないから、いつかは行ってみたいなと思わせる物語でもあったかな。2021/10/16
シナモン
129
シリーズ2作目。良かった。どんなことからでも学ぼうとする郷子。その素直さと健気さに応援したい気持ちでいっぱいになった。何より元気なのが気持ち良い。郷子に関わる人たちも温かくて、特に高野バーのおかみのとし子の言うことはピシッと筋が通っててかっこいい。「他人が私の何を知ってるっていうの?私も他人の詳しいことはわからない。ちょっと知ってることを膨らませて、相手に偏見の目を向けるのって簡単なことよね」心に刺さった。いろいろ悩みながらも浅草で奮闘する郷子、続きが読みたい。2021/11/11
真理そら
56
東京オリンピックを機にもはや戦後ではないと東京が変貌を遂げる昭和30年代。群馬から集団就職で上京してきた郷子は劣悪な労働環境に耐えきれず逃亡し、行く当てもなく上野でうろついているところを浅草の「洋食バー高野」のおかみ・とし子に助けられ洋食バー高野でウエイトレスとして働くことになった。洋食も美味しそうだが、開発から取り残されたような浅草の街で生きる芸人、ストリッパー、老舗のおかみや旦那の描写が興味深い。文化ブランのモデルはデンキブランですよね。2023/02/03
野のこ
44
昭和半ばの浅草、バー高野の雰囲気がハイカラで素敵だった。雰囲気がガラリと違う1階も2階も行ってみたいな。そして料理長もとし子さんもあたたかい。言いたいことをちゃんと言えて生まれた煮込みハンバーグ。自分自身を認めて、辛い過去を乗り越えたキョーちゃんの成長を応援したいです。2021/12/11
くろにゃんこ
41
シリーズ2冊目。郷子が主の話ばかりではなく、戦後の浅草で生きていく人たちの奮闘もありとても興味深い。ウェイトレスとして働く郷子の観察力や考え方の冷静さはとても16歳くらいとは思えず、ビジネス書に通じるものさえ感じます。きっと続きもあるよね・・・楽しみです♪2023/03/08