内容説明
初午のころ。小間物商「丸藤」では主の藤兵衛が、当代一の根付を望む好事家の相手をしていた。総領娘の里久は、客の話を粘り強く聞く父に感服しきりだ。そんな娘に父は、若き日に根付が原因で喧嘩別れした友との苦い思い出を打ち明ける。二十年ごしのいさかいを取り持とうとする里久。雛の節句のころには、茶道をよくする得意客のあしらいに失敗し、妹・桃が通うお茶の師匠のもとに渋々見学に行くこととなった。正座が苦手で、これまでお茶の稽古には嫌な思い出しかなかったが…。人情に厚い姉・里久と小町娘の妹・桃。仲の良い看板姉妹の物語、第四作。
著者等紹介
宮本紀子[ミヤモトノリコ]
京都府生まれ。2012年、「雨宿り」で第6回小説宝石新人賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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とし
90
小間もの丸藤看板姉妹「雛のころ」4巻。総領娘の里久さん、お客のあしらいに失敗して、やっと手習いをすることに決心しましたね一歩前進でした。2021/10/29
タイ子
88
シリーズ第4弾。みんなが優しい、みんなが前向き。以前、登場した妻を亡くした大店の主人が再び登場するもすっかり人間性も変わり、初めて江戸に出てきた義妹とともに新しい商売を丸藤に提案してくる。正座が苦手な里久がお茶のお稽古を始めたり、花白粉の売り方のアイデアを出したり、丸藤の総領娘としてどんどん成長していく姿が頼もしい。妹・桃と耕之助の仲も少しづつ近づく気配が…。白粉の塗り方をモデルと共に絵に書くというアイデアが広まって、丸藤のますますの繁盛をお祈りいたします。2021/09/10
真理そら
72
(三)は耕之助を巡るグッとくる内容だったが、今回はなんとなく和む内容になっている。ヒロイン里久がみんなに好かれ、商売上の発想もすべてうまくいくという点がやや物足りない気がしないでもない。「看板姉妹」シリーズというより跡取り娘シリーズのようになってきた気がする。桃ちゃんファンには少し寂しい。姉妹揃って性格が良すぎるのかも?2021/08/11
ぶんこ
50
相変わらず心根の優しいお節介が楽しい里久と、そんな姉が大好きな桃、そして一致団結してお店を切り盛りする奉公人。読んでいて一度も嫌な思いをしない本。根付の注文から仲違いした父と友の金吾。話を聞いた里久は早速お節介。里久の手紙を読んだら、それは笑ったり泣いたりと、誰しも昔のわだかまりは消えるでしょう。耕之助は大和屋の一奉公人となり、家も出て長屋住まい。それを悲しむ弟。桃との仲も一つ階段を上がった感じです。商いでは白粉を地方に売り出すことでのアイデアが素晴らしい。ちょっとしたことで閃く才能が里久にはあります。2022/12/16
kagetrasama-aoi(葵・橘)
44
「小間もの丸藤看板姉妹」第四巻。 姉の里久が跡取り娘として奮闘する姿が微笑ましいです。ちょっと空回り気味のところもご愛嬌ですよね(o^O^o)。江戸時代の小間物にスポットを当てているこのシリーズ、今回も色々と登場しましたが、特に根付けには興味魅かれました。今巻は恋愛の進展は皆無でした。次巻に期待します。2022/06/16
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