内容説明
気づいたら病院のベッドに横たわっていたわたし。目は覚めたけれど、自分の名前も年齢も、家族のこともわからない。夫を名乗る人が現れたけれど、嬉しさよりも違和感だけが立ち上る。本当に彼はわたしが愛した人だったの?何も思い出せないのに、自分の心だけは真実を知っていた…。“愛”を突き詰めた先にあったものとは―。最後まで目が離せない傑作サスペンス長編!
著者等紹介
近藤史恵[コンドウフミエ]
1969年大阪府生まれ。大阪芸術大学卒。1993年『凍える島』で鮎川哲也賞を受賞しデビュー。2008年『サクリファイス』で大藪春彦賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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相田うえお
95
★★★☆☆22042【わたしの本の空白は (近藤 史恵さん)】記憶喪失を題材にした作品。主人公の女性は階段から落ちて搬送先の病院のベッドで目覚めたが、ここが何処なのか?自分が誰なのか?なにも思い出せず、性別すら胸を触って確認しなければならない状態。夫だと名乗る男性を見ても何の感情も動かず、単なる知らない人。退院して家に戻っても、料理の方法も思い出せないし、好きなものや趣味も分からない...ひゃ〜!それって困るねー。過去の脳メモリー完全オールクリア!頭フォーマット完了!まだパソコンの方が復元の可能性あるね。2022/05/16
アッシュ姉
83
自分の顔も名前も思い出せず、病室で目覚めたわたし。迎えにきた夫にも夫の家族にも違和感しか覚えない。夢の中に出てくる別の男性に心惹かれ、現実では疑心暗鬼に囚われていく。よくある記憶喪失ものでありながら、近藤さんらしい不穏な雰囲気でぐいぐい読ませる。これはとても面白いかもと期待が高まったが、後半失速気味だったか。著者ならではのハッとするような驚きがもうすこし欲しかった。2021/09/28
ワレモコウ
59
目覚めた病院で、記憶を失っていた南。夫の慎也も義姉も義母も、全く思い出せない。唯一、夢に出てくる美しい男性に心を締め付けられる。誰も本当のことを言ってくれない不安が、よく描かれていた。夢の中の晴哉が出てきてからは、ゾクっとすることが多く、ミステリー要素もあり面白かった。慎也がちょっと可哀想だったかなー。2023/05/09
坂城 弥生
59
記憶を失って目の前に現れた自分の夫と名乗る男には愛情を感じられないー。何が本当で何が違うのか、ドキドキした。2022/01/10
のんちゃん
51
病院の入院部屋で意識を取り戻した私は、自身の名前や家族、全ての記憶をなくしていた。そんな中、夫であるという人が現れるが、彼に対し私は全く感情が動かない、これから、どうしたらいいのか、と言うミステリー。たぶん近藤先生のダーク作品の方だなとあたりをつけつつ読むも、どうなっていくのかとドキドキの一気読み。最初の頁のある人物の独白は、読了後、もう一度読むと、本当に切ない。2021/08/10