出版社内容情報
大学時代のゼミの仲間たちと、隣町の農園を訪ねた大学院生・遠野守人は、
その晩、友人・田辺の母の実家に泊まって、自分と同じく家の声が聞こえる田辺の祖母・喜代との再会を果たす。
古民家〈月光荘〉の管理人となり、早一年。
古い町並みの温もりに包まれ、人と?がる楽しさを知った守人は、このまま川越の地で働きたいと考えるようになっていた。
その矢先、守人はすべての縁に導かれるように、自分の曽祖父が家の修繕を得意とする大工だったと知り……。
感涙必至のシリーズ第四作。
内容説明
大学時代のゼミの仲間たちと、隣町の農園を訪ねた大学院生・遠野守人は、その晩、友人・田辺の母の実家に泊まって、自分と同じく家の声が聞こえる田辺の祖母・喜代との再会を果たす。古民家“月光荘”の管理人となり、早一年。古い町並みの温もりに包まれ、人と繋がる楽しさを知った守人は、このまま川越の地で働きたいと考えるようになっていた。その矢先、守人はすべての縁に導かれるように、自分の曽祖父が家の修繕を得意とする大工だったと知り…。感涙必至のシリーズ第四作。
著者等紹介
ほしおさなえ[ホシオサナエ]
1964年、東京都生まれ。作家・詩人。95年「影をめぐるとき」で、第38回群像新人文学賞優秀作受賞。16年から刊行の「活版印刷三日月堂」シリーズが話題を呼び、大人気シリーズとなる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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- 評価
COSMOS本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
276
人との繋がりが広がるにつれて、縁が縁を呼び、縦横無尽に繋がることによって、守人の祖先と能力のルーツがわかった。同時に守人のやりたいこともぼんやりと見つかり良かった。夏目漱石、小川未明、今回は文学も絡み、夏目漱石や小川未明の作品を読んでみたくる。それはさておき、どういう仕組みかわからないけど、月光荘は、おでかけできて良かった。静寂の中、不思議な世界に誘われ、心がどこか淋しくもなる今作だった。そう、それは小田和正の歌を聴いてる時の感じかな。2021/07/01
しんたろー
234
シリーズ4作目にして、好い意味で想いが深まってゆく印象で、切なくも温かい読後感。人との繋がりの不思議さ、家族の難しさと有難さ、人生における仕事の意味、などなど深いテーマを織り込みながら、ファンタジー色でふんわりと包み込んでいるので、硬くなりがちな内容にも拘わらずスッと胸に響いてくる。目に浮かぶ素敵なシーンも多いが、今巻では「影絵を使った朗読会」と「鎌倉の海」はウットリしたし、本シリーズの良さが凝縮されている感じだった。『三日月堂』とのリンクも楽しく、守人の成長と共に今後も楽しみなシリーズに育ってきている。2021/07/30
みっちゃん
158
読み終わり、改めて表紙を見、また涙がこぼれそうになる。「もうひとつの」月光荘、丸窓が起こした小さな奇跡。「ひとりじゃなくて、よかった」守人よ、早くあなたのその喪失感が、孤独が、あたたかなものに置き換わりますように。今作ではあの「ちょうちょう」のメンバーが登場。どんどん『三日月堂』の世界と重なりあっていくのが嬉しくてたまらない。2021/07/25
シナモン
141
楽しそうに充実した生活を送ってるようにみえてもみんな家族の問題とかどうにもならないものを抱えてるんだな。それでも気の合うもの同士が集い笑いあって生きている。川越、素敵な町だな。そんな川越のいろんな人と関わりあって少しずつ未来を描き始めた守人のこれからが楽しみ。今回は守人との会話も増えた月光荘がなんとも可愛らしかったです。一つ一つ焦らずに…落ち着いた文章が心に響く一冊でした。2022/01/03
のぶ
138
シリーズも4作目になるが、いつもと変わらず川越の素晴らしさと、そこに暮らす人たちの温かさが伝わって来る一冊だった。主人公の遠野守人は大学院の2年。月光荘の管理をしながら、修士論文のテーマを夏目漱石にしようか迷っている。3つの話が収められているが、特に良かったのは「影絵とおはなし」。月光壮をイベントスペースにして、影絵を交えた朗読会を開催するために、みんなでいろいろ工夫するところ。作品全体として気に入ったのは、みんなそんなに大きな事はやっていないけれど、細々と生きているそのひたむきさが心を打った。2021/06/27