内容説明
大阪の住吉大社近くで、たこ焼き屋をひとり営む岸本十喜子。永らく失踪していた息子颯が、ひょっこり戻ってきた。一歳半になる子ども嵐を連れて。嫁は、なんと女子プロレスの現役選手で、十喜子は、嵐を預かることに。孫は可愛く、多忙だけれど充実した日々を送っていたが…たこ焼きの天ぷら、紅ショウガご飯、うどんすき、すき焼きなど、大阪の庶民の味とお節介好きなご近所さんたちの人情も、たっぷり。書き下ろし長編。
著者等紹介
蓮見恭子[ハスミキョウコ]
大阪芸術大学美術学科卒業。2000年頃から大阪の「創作サポートセンター」を受講しながら、作品を書きはじめ、2010年『女騎手』で第30回横溝正史ミステリ大賞の優秀賞を、2020年、『たこ焼きの岸本』で大阪ほんま本大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
- 評価
-
akky本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
183
今作は、前作の十喜子の馴れ初めの話が今作の伏線だったんだね。前作の伏線を前々作の話に繋いでるから、ちょっと登場人物が把握できずわかりづらかった。でも、あいかわらずのドタバタ劇。菜美絵はなかなか芯の通った娘だね。なんで颯(はやと)と一緒になったんだか…。そして十喜子からみて、孫の嵐(らん)は、保育園の給食を食べないところをみると、進と颯の血を引き継いでるっぽいね。圭介の登場で、いろいろあったけど、ラストはホロリというかしんみり。十喜子の淡い思い出だけにしてほしくないなあ。2021/06/10
タイ子
94
「たこ焼きの岸本」第三弾。2作目で十喜子の過去の話に遡ったのはこの3作目に繋ぐためだったのね、と一人想像してみる。音沙汰無の息子・颯が子供の嵐を連れて帰ってきたものだから十喜子さんは孫のお守と商売に大忙し。そのうえ、今度は商店街にたこ焼き屋をオープンの話が。新店を開く決心をした十喜子さんは昔ちょこっと縁のあった圭介と再会。今回出てきたたこ焼きの天ぷらがめっちゃ美味しそう。はふはふしながら食べてみたい。新店の開店とともに、プロレスラーの嫁も将来の事を決めたみたいだし十喜子さんもまだまだこれから、がんばろー!2021/06/01
まさきち
84
前作では十喜子の若かりし頃の話でしたが、今作は再び現代へ。息子の楓と嫁の女子プロレスラー・菜美絵、そして孫の嵐と暮らし始めたところに、商店街への出店話や、懐かしきかつての恋人(?)との再会、商店街の店主同士のいざこざ等が巻き起こるが、しかしそれらを穏やかに、かつ心地よく解決に導いて幸せをもたらす。そしてラストの奈美絵の一大決心とやさしさによって、十喜子に最高の幸せがもたらされ、本当にあたたかな気持ちで読了できた一冊でした。2021/07/31
紫綺
78
大阪人情話「たこ焼きの岸本」第3弾。昔ながらのたこ焼きの岸本が商店街に新店をオープン。大阪弁のやりとりが心地いい♪ついでに孫の嵐の幼児語も♪ドラマにしたら楽しいやろな(笑)、おおきに!2021/09/18
ジュール リブレ
75
大阪で生まれた女の大河小説がここに千穐楽かな。住吉大社やこの辺りには全く縁が無く訪れた記憶もないのだけれど、粉もんへの愛情(こだわり)はさすが。ベタに濃い商店街の人情も暑苦しく楽しくほろり。生まれた街への愛情たっぷり。お腹いっぱい堪能させていただきました。2021/12/28