内容説明
じゅうじゅうと脂ののったさんまの塩焼き、柚子の香りとともにぷりぷり濃厚な白子を味わう柚子釜、ていねいに蜜を含ませた栗の渋皮煮―面倒見のよい姉御肌のおかみ・お高が切り盛りをする一膳めし屋「丸九」は、今日も大繁盛。ある日、先代から丸九で働くお栄は、一人歩きの夜道で、誰かに見られているような気配を感じる。それが度重なり、もしや別れた亭主ではと不安になるお栄。一方、色恋には奥手になってしまうお高は、旅に出たきり音沙汰のない作太郎のことでやきもきして…。実りの秋、人想う秋。ますますおいしくて目が離せない、シリーズ第四巻。
著者等紹介
中島久枝[ナカシマヒサエ]
東京都生まれ。学習院大学文学部哲学科卒業。フードライターとして活躍し、讀賣新聞夕刊にて「甘味主義」を連載中。『日乃出が走る 浜風屋菓子話』で第3回ポプラ社小説新人賞の特別賞を受賞し、作家デビュー。「日本橋牡丹堂菓子ばなし」「一膳めし屋丸九」両シリーズにて第1回日本歴史時代作家協会賞文庫書き下ろしシリーズ賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しんごろ
164
お栄さんに春が来たか。お近は、相変わらず積極的。お高は…、ああ焦れったいとは思うけど、恋する作太郎には…、うーむ微妙な関係だ。草介は何やらいい男。はたして草介の想いは届くのか。恋をしても、怒っても、淋しくても、悲しくても、お腹がすくのはかわりない。丸九の料理でお腹を満たして、たまには徳兵衛のなぞかけで笑おうよ。それぞれ幸せをつかんでくれ~。 2020/11/04
タイ子
78
シリーズ第4弾。一膳めし屋「丸九」のおかみお高、29歳。21歳より父親の跡を継いで料理人になる。しっかり者のお栄、おきゃんなお近とともに商売繁盛。この3人の女性たちにも心が揺れ動く春、いや季節は秋だけど…がやってきた。お高も人の事になるとしゃきしゃき者なのに、自分の胸のうずきには奥手になってしまう。えーい!じれったい。と、思うも相手は許嫁のような人があり、日本中を旅する陶芸家の身。もう二度と結婚などと言ってたお栄が恋をした。それが何だか嬉しい。そういえば秋の味覚が豊饒な料理に松茸がなかったな。2020/11/05
優希
44
人を覆う秋の風情が愛おしかったです。2023/07/18
kagetrasama-aoi(葵・橘)
40
「一膳めし屋丸九」第四巻。お高は作太郎が好きなのかな?でも作太郎の魅力が今一つ伝わってこないので、応援しきれないです。過去話が中途半端に語られているので、それがわかると読者の気持ちも変わるのかな?そして、相変わらず丸九の料理は美味しそう。この酷暑でも食欲が刺激されます。次巻楽しみです。2021/08/02
はにこ
40
お栄の新しい恋?おりきが好きになった相手に好意を持たれるけど元旦那のDVの経験が。。別れても仕事場まで来るなんてストーカーだし!お高は作太郎のことを相変わらず好きみたいだけど、私からしたら草介の方がよっぽど魅力的。お高はダメンズ好きなのかな。英の店も気になるところ。2021/04/07