内容説明
じゅうじゅうと脂ののったさんまの塩焼き、柚子の香りとともにぷりぷり濃厚な白子を味わう柚子釜、ていねいに蜜を含ませた栗の渋皮煮―面倒見のよい姉御肌のおかみ・お高が切り盛りをする一膳めし屋「丸九」は、今日も大繁盛。ある日、先代から丸九で働くお栄は、一人歩きの夜道で、誰かに見られているような気配を感じる。それが度重なり、もしや別れた亭主ではと不安になるお栄。一方、色恋には奥手になってしまうお高は、旅に出たきり音沙汰のない作太郎のことでやきもきして…。実りの秋、人想う秋。ますますおいしくて目が離せない、シリーズ第四巻。
著者等紹介
中島久枝[ナカシマヒサエ]
東京都生まれ。学習院大学文学部哲学科卒業。フードライターとして活躍し、讀賣新聞夕刊にて「甘味主義」を連載中。『日乃出が走る 浜風屋菓子話』で第3回ポプラ社小説新人賞の特別賞を受賞し、作家デビュー。「日本橋牡丹堂菓子ばなし」「一膳めし屋丸九」両シリーズにて第1回日本歴史時代作家協会賞文庫書き下ろしシリーズ賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しんごろ
167
お栄さんに春が来たか。お近は、相変わらず積極的。お高は…、ああ焦れったいとは思うけど、恋する作太郎には…、うーむ微妙な関係だ。草介は何やらいい男。はたして草介の想いは届くのか。恋をしても、怒っても、淋しくても、悲しくても、お腹がすくのはかわりない。丸九の料理でお腹を満たして、たまには徳兵衛のなぞかけで笑おうよ。それぞれ幸せをつかんでくれ~。 2020/11/04
おしゃべりメガネ
90
シリーズ第4弾。相変わらず「作太郎」との距離が縮まるようで縮まらない「お高」。なんだか「お栄」や「お近」のほうがよっぽど前を向いているように思えます。幼なじみの「政次」にもチクリとちょっとした苦言を呈されしまいます。それでもなお、一膳めし屋のおかみとしてのプライドが彼女をなんだかんだいっても奮い起たせてくれます。そんな「お高」にちょっとばかり気に人が現れます。イマイチ「作太郎」との仲が進展しないだけに、ちょっとばかり彼女のココロは揺れ動いてしまいます。さて、これからの二人の関係はどうなるのか、楽しみです。2024/12/14
タイ子
81
シリーズ第4弾。一膳めし屋「丸九」のおかみお高、29歳。21歳より父親の跡を継いで料理人になる。しっかり者のお栄、おきゃんなお近とともに商売繁盛。この3人の女性たちにも心が揺れ動く春、いや季節は秋だけど…がやってきた。お高も人の事になるとしゃきしゃき者なのに、自分の胸のうずきには奥手になってしまう。えーい!じれったい。と、思うも相手は許嫁のような人があり、日本中を旅する陶芸家の身。もう二度と結婚などと言ってたお栄が恋をした。それが何だか嬉しい。そういえば秋の味覚が豊饒な料理に松茸がなかったな。2020/11/05
優希
45
人を覆う秋の風情が愛おしかったです。2023/07/18
はにこ
45
お栄の新しい恋?おりきが好きになった相手に好意を持たれるけど元旦那のDVの経験が。。別れても仕事場まで来るなんてストーカーだし!お高は作太郎のことを相変わらず好きみたいだけど、私からしたら草介の方がよっぽど魅力的。お高はダメンズ好きなのかな。英の店も気になるところ。2021/04/07