内容説明
財布や煙草入れなど、身につける小物に刺繍と金銀の箔をあわせて模様を入れる、縫箔師の咲。両親を亡くし、弟妹の親代わりとなって一生懸命に腕を磨いてきた。ある日立ち寄った日本橋の小間物屋で、咲はきれいな飛燕の簪に魅了される。気になって再び店を訪れると、その簪を手掛けたという錺師の修次と出会った。しかし二人が話している隙に、双子の子供が簪を奪って逃げてしまい…。咲が施す刺繍が人々の縁をやさしく紡ぎます―江戸のお仕事人情小説、装いを新たにシリーズ開幕!
著者等紹介
知野みさき[チノミサキ]
1972年生まれ。ミネソタ大学卒業。カナダ・バンクーバーにて銀行員を務める。2012年『鈴の神さま』でデビュー。また同年、『妖国の剣士』で第四回角川春樹小説賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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タイ子
91
縫箔師(刺繍と金銀の箔を合わせて模様を入れる職人)の咲と彼女の棲む長屋の住人たちとのふれあい。彼女が作る小物を商う小間物屋のおかみさんとの縁。ある日、小間物屋で見つけた美しい簪に魅了され、それを作った錺師、修次と出会ってまた新しい縁が芽生えた咲。稲荷神社で遊ぶ2人の童は果たして狐神なのか。物語の中に自然に溶け込む感じでファンタジーが入っているので、違和感なしに読める。咲が竹を割ったような性格なので苛々感がないのはいいけど、修次との仲は進展するのか。など要らぬお節介を焼いてしまう。次巻を読むことにします。2020/09/19
真理そら
64
『しろとましろ』改題。「飛燕の簪」「二つの背守り」「小太郎の恋」の3編。8月にはこの続きが出版予定。つまりとても読みたかった「しろとましろ」の続きが読めるということ、うれしい!!…8月になるのが待ち遠しい。2020/07/14
はにこ
47
知野先生の江戸職人はいつも格好良いね。ちょっと口の悪いお咲さんだけど、弟妹を思いやる心や周囲を思う心が優しいね。修二への気持ちはまだ恋心ではなさそうだけど、恋に発展しそうだよね。シロとマシロのことも気になるところ。人間の子じゃないのかな。生意気だけど可愛い。続きが楽しみ。2024/07/25
ひさか
41
2015年7月刊招き猫文庫しろとましろ神田職人町縁はじめを改題して、2020年7月ハルキ文庫化。シリーズ1作目。縫箔師の咲を中心にした江戸人情職人もの。ちょっと出来過ぎの話だが、それなりの展開で、面白く、楽しい。次作が楽しみ。2020/10/14
ううち
35
縫箔師という職人をしている咲。営業向けでない時の男前な話し方がカッコいいわ。 錺師の修次も職人としてカッコいいし面白そうな奴なので今後が楽しみ。 しろとましろは別の作品で読んだけどこの子たちだよね。可愛くて好き。2023/03/15