内容説明
安政二年。江戸の大地震からふた月が過ぎ、品川宿の宿屋「紅屋」もようやく落ち着きを取り戻しつつある。台所付きの女中見習い・おやすは、正式に女中となれる日を夢見つつ、充実した毎日を送っていた。そんなある日、おやすはおつかいに行った団子屋で、武家の生まれらしきお嬢様・おあつと出会う。おやすは、おあつが自分には想像もできない世界の人だ、という気がしていて―。人として、女性として、女料理人として成長していく、時代小説版「赤毛のアン」、シリーズ第二弾。
著者等紹介
柴田よしき[シバタヨシキ]
東京生まれ。1995年に『RIKO―女神の永遠』で横溝正史賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しんごろ
305
あんちゃん(おやす)の成長を見守りながら応援したくなるね。お嬢様のおあつ(あのお方かな)と菊野さん、料理人のおみねさん、ちよちゃんと出会ったことで、あんちゃんが料理人を目指すための器が広がりそうだね。そして、紅屋の人達がいいね。抜群のチームワークを感じるね。特に政さん、よく周りを見てるし、よく動く!見習いたくなるね。そんな中で、出会いがあれば別れもあり。勘平も心配。お小夜とも今までのように会えるのかな。続きが気になるから、柴田さん、早く続きを書いてくれ~。 2020/09/18
いつでも母さん
208
時代小説版「赤毛のアン」シリーズ第2弾。『お勝手のあん』おあつさまって、あの方ですよね?一瞬で時代が変わっても二人の友情は続くだろうって、勝手に想像してしまいました。女料理人おみね登場にドキッとしたけれど、肝の座ったイイ感じのようで先が楽しみです。【紅屋】の皆が本当に良くて(特に政さん・・笑)あんちゃんの成長が楽しみなシリーズになりました。それにしても勘平が心配だけれども、きっとこの先大成すると期待する私です。2020/07/07
もんらっしぇ
176
心配は幸いにして杞憂に終わりました。どういうことかって?それは2巻目が順調に刊行されたってことです♪これでシリーズものとしてある程度は続くぞという希望的観測w引き続きよろしくお願いしますよハルキ社長!作者は「赤毛のアン」を意識しているそうな。ただ主人公・やすは“想像の翼を自由に膨らませて空想世界に遊べる少女”じゃないですよね。彼女にとっての「想像の翼」は料理をすること。持ち前の犬並の嗅覚と鋭い味覚が味方です。周囲の人々と触れ合いながら自分の置かれた境遇の中、精一杯楽しく前向きで順調に成長する2巻目。2020/07/03
ひさか
162
ランティエ2019年10月号〜2020年3月号掲載のものに加筆修正を加えて2020年6月ハルキ文庫から刊行。シリーズ2作目。おやすを取り巻く人々との交流が楽しい。おあつさんという武家の娘さんと知り合うが、この方はもしやあのあつ姫さまか?2020/10/14
タイ子
129
シリーズ第2弾。おやす(あんちゃん)が周りの優しくも厳しい人たちに助けられてどんどん成長していく姿が微笑ましい。親友のお小夜さま、どこかしら品のあるおひいさまのおあつさま。2人の行く末の不安と見えてくる希望。お互いの身の上を羨ましがりながら、16歳の孤独な身の上のおやすにとっては未来は不安。料理人のお政は料理だけでなく、人生も生きていく術もおやすに教えてくれる。それがこの作品の素晴らしいところだと思う。おあつさんの真の姿を知ったら度肝を抜くだろうな。女料理人として次回が楽しみ!2020/08/07