内容説明
米中大戦によって汚染された地球。人類は、わずかに残った宇宙モジュールと月往還船、そして3Dプリンタの活用で文明を繋いでいた。月往還船の船長・美島修一大尉は、月資源運搬中の事故の責任で停職の処罰を受ける。居住民の間ですら格差が開く宇宙生活の中、同級生だった上条友里絵と意外な形で出会う。そんな美島に、地球環境調査に赴くも行方不明となった第一探査隊の捜索の命が下る…。航空サスペンスの第一人者が描く近未来サバイバルSF!
著者等紹介
夏見正隆[ナツミマサタカ]
千葉県生まれ。迫真の航空アクションに定評があり、「スクランブル」「天空の女王蜂」など人気シリーズを連発(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ケンイチミズバ
105
ガンダムか?核戦争後の地球からシャトルで脱出できる人間がどれだけいるのか。選ばれし者=与党政治家と忖度が得意な官僚、その愛人、政府寄りな著名人、医者。上級国民だけだな。くじ引きかな?ハズレ残念じゃおさまらんだろうし選別の過程で暴動や内戦が起こるな。終末のフールみたいに大人しく受け入れる人も案外多いかも。地球いつか終わることもあるしね。短期間に破局の地上と宇宙空間のインフラを複数往復するには無理があろうね。信用を担保する中央銀行もない状況で財界人が宇宙でも力を持っている不思議ワールド。金も放射能汚染します。2020/01/29
おかむー
58
本自体の薄さから怪しさは感じていたらやっぱり内容も薄かった。『可もなし不可もなし』。全世界に広がった放射能汚染で壊滅した地球、僅かに逃れた人類は月からの資源を頼りにコロニーで細々と生き延びているが、上級国民と平民の格差がそのまま持ち込まれる閉塞感。パイロットである主人公視点での遭難した地表調査隊の捜索の旅は、伏線が覆されることもなく捻りも意外性もない話の流れそのままの展開で夢も希望もない結末に至る。そもそも準備パートで2/3使ってる時点で推して知るべしなのだが。そして読者共通のツッコミ「表紙は誰よ?」2020/02/01
スター
50
初めて読む作家だが、とても良かった。ハードSFとして、完成度が高い。米中大戦で地球は放射線による汚染で人が住めなくなり、選ばれた富裕層だけが難を逃れ、スペースコロニーに移住していた。 住人が富裕層ばかりなので公立大学がなく私大しかないという設定も、妙な説得力がある。航空アクションに定評ある作家だそうで、他の作品も読みたいと感じた。 男臭い雰囲気が良い。意外な展開の連続で、ラストは想像もつかなかった。映像化しても面白そう。2020/03/09
ホシナーたかはし
11
SFかと思ったら社会派小説。「Fukusima50」を読む前で良かった。これがほんとの可もなく不可もなし。次はない。2020/02/11
臓物ちゃん
5
全面核戦争により地球上の全生物が死滅、からくも宇宙に逃げ延びたものの全人類が十数万人にまで激減したっていうのに、日本政府はちゃっかり生き残ったどころか月面に新たな東京まで建設しちゃうとかどーなのよ!? 佐藤大輔『遥かなる星』と筒井康隆『霊長類南へ』を混ぜてプレートで薄〜く焼いたような、まぁまぁ面白くて軽く読める宇宙開発パイロットSF。悪くはないんだが表紙の褐色銀髪女の子は一体誰だったんだよチクショ〜〜〜!2020/01/18