内容説明
立秋を迎え、照月堂でも秋ならではの菓子を出し始めた矢先のこと。なつめは、店前の仕事を一人で切り盛りする番頭・太助に、疲労の色が滲んでいることに気づく。そんな折、太助をますます疲れさせる客が現れた。かつて、上野の菓子舗・氷川屋と競い合いをしたときに判定役だった無役の御家人・陶々斉だ。陶々斉は、競い合いの際に久兵衛が作った菓子を食べたいと駄々をこねる。一方、好調だった氷川屋の商いが下り坂となるなか、互いに惹かれ合う氷川屋の職人・菊蔵となつめの関係は―。物語がいよいよ動き出す、大好評シリーズ第六作。
著者等紹介
篠綾子[シノアヤコ]
1971年、埼玉県生まれ。東京学芸大学卒。第4回健友館文学賞受賞作『春の夜の夢のごとく―新平家公達草紙』でデビュー。短篇「虚空の花」で第12回九州さが大衆文学賞佳作受賞。主な著書に『青山に在り』(第1回日本歴史時代作家協会賞作品賞)、「更紗屋おりん雛形帖」(2017年第6回歴史時代作家クラブ賞シリーズ賞)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぶち
92
前作で兄の行方の手掛かりに不穏な空気を感じましたが、こんな経緯があったとは...(未だ明確にそうだと分かったわけではないのですが)。そして、もっとも気掛かりだった恋の三角関係がこんな形で展開していくとは....初めての恋心に戸惑いながらも、一緒に菓子の道を追求していくことに希望を抱いていたなつめ。お菓子作りのへの情熱はどうなっていくのでしょう?そして、しのぶとの友情は危うくなってしまうのか? 兄のこと、しのぶのこと....次作を読まなくちゃ。2021/03/18
はにこ
44
複雑な恋模様。しのぶ、菊蔵、なつめの三角関係。そればかりではなく、なつめの兄の恋、了然尼の過去の恋も分かってくる。さらにはまさかの氷川屋のピンチと気になることばかり。氷川屋を煩わしく思う上総屋まで出て来て、今後どうなっていくのか気になってしょうがない。了然尼の庵の移転話も気になるし。。この大風呂敷がどう纏まっていくのか楽しみ。2021/03/16
kagetrasama-aoi(葵・橘)
39
「江戸菓子舗照月堂」第六巻。色々動きのあった巻でした。菊蔵の過去の話はしみじみ感じいりました。そしてその決断も…。良い男です。照月堂に新しい雇人が来ました。謡曲に詳しい人で、蘊蓄が凄いです(o^O^o)。実在の人物、戸田露寒軒や北村季吟(前巻から登場してます)と絡みあってますます展開が楽しみです。2021/08/13
えみちゃん
35
いつもならば即読むんだけどタイミングを逸してしまい積んじゃった!(^^;)まもなく新刊が刊行されるっということで慌てて発掘。笑っ。前作はずいぶん意味深な終わり方だったのでさっそく読み始めたワケですが・・。いきなり核心に迫る!なんて無粋な幕開けになるハズもなく、佐和先生が大切に育てているほおずきをもぎ取られてしまう!!っという大事件が発生するんですが、叱るのではなく「・・・正直であることは、人のためではなく、あなた自身のために大切なことなのです」と亀次郎を諭す佐和先生の言葉が沁みました。また今作から照月堂の2020/02/13
むつこ
30
シリーズ6作目。なつめ、しのぶ、菊蔵のお互いの内に秘めた恋心の三角関係になつめの兄や了然尼の大人の恋愛話を加えることで深みが増す。新キャラ・文太夫の「能」の世界がどう和菓子とつながるのか楽しみ。2021/01/05