内容説明
ミートソース、トリッパ、赤牛のロースト、鶏バター、アンチョビトースト…美味しい料理で人気の目黒の小さなイタリアン「食堂メッシタ」。満希がひとりで営む、財布にも優しいお店だ。ライターの笙子は母親を突然亡くし、落ち込んでいた時に、満希の料理に出会い、生きる力を取り戻した。そんなある日、満希が、お店を閉めると宣言し…。続々重版の大人気シリーズ「食堂のおばちゃん」の著者が放つ、料理と愛の物語。
著者等紹介
山口恵以子[ヤマグチエイコ]
1958年東京都生まれ。早稲田大学文学部卒。会社勤めをしながら松竹シナリオ研究所でドラマ脚本のプロット作成を手掛ける。2007年『邪剣始末』でデビュー。13年、丸の内新聞事業協同組合の社員食堂に勤務するかたわら執筆した『月下上海』で第20回松本清張賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
208
メシッタを一人で切り盛りする満希。イタリアの料理が好きすぎて、いやイタリアの料理に取り憑かれてという印象。イタリア料理でなくイタリアの料理がポイントですね。そしてストイック!満希を見ていると『好きこそ物の上手なれ』という言葉が、満希に相応しい。メシッタの開店までの過程が面白く、満希と一緒にイタリアのグルメツアーに行った気持ちになれました。ひとつのことで、ここまでできる愚直さ、涙ぐましい努力は、自分も見習いいたい。そして、楽しく時にはストイックになんでもいいから取り組みたいです。いろいろ学べた作品です。2019/06/13
machi☺︎︎゛
108
満希が仕入れから仕込み、調理、接客と全て一人でこなすイタリアン「食堂メッシタ」。分かりにくい場所にあるにも関わらずいつも予約でいっぱいの人気店だ。ただそこに至るまでの満希の人生は波瀾万丈だった。日本とイタリアの話が交互に織り交ぜられ満希の努力はすごいと思った。でも好きな事に熱心に一途に取り組む姿はかっこよかった。日本でのイタ飯と言われているものではなく本場のイタリア料理が食べたくなる一冊。2023/01/10
aoringo
93
読んでいて食べたくなるような単なるグルメ小説というだけではなく、主人公の料理人としての成長物語でもあった。メッシタは主人公が腕を奮うイタリア料理店の名前。閉店を機にこれまでの人生を振り返っていく。色々と、とんとん拍子に行き過ぎの気もするけど、聞いたことのない様々なイタリア料理がどんどん登場して全てを吸収しようという彼女の情熱や心意気が気持ちいい。イタリアの地元に根付いた料理なので珍しいものばかりでした。おいしそ~。2020/07/10
mr.lupin
61
山口惠以子さんの著書八冊目読了。美味しい料理で財布にも優しい小さなイタリアン「メッシタ」を一人で営んでいる満希。そんな満希のイタリアン料理に掛ける情熱の物語だった。でも面白かったけれども正直イタリアン料理と言うものにほとんど馴染みがなく、知ってるのはパスタやピッツァ位で、後は美味しそうな雰囲気はしたものの、そこまで胃袋が刺激されることもなかったかな。やっぱり「食堂のおばちゃん」シリーズの方が相性が良さそうな。でも、もし続きがあれば手に取ると思うけど。☆☆☆☆☆2021/01/27
ユメ
46
『食堂のおばちゃん』シリーズの著者が描くイタリア料理店の話ということで、楽しみにしていた。見知った料理と見知らぬ料理、メニューは対照的だが、何度も通いたくなる居心地のよさは「食堂メッシタ」も「はじめ食堂」と同じだ。次々出てくる正統派イタリア料理の数々。恍惚と口にする客の姿に、どんな味わいなのだろうと羨望が膨らむ。母を亡くして絶望の淵にいた笙子が、メッシタの料理に救われた理由に深く納得した。真心をこめて料理を作りたいと願う相手は、大切な人だけ。すぐれた料理は食べた者の記憶に残り、また、記憶を呼び覚ますのだ。2019/05/20