出版社内容情報
篠綾子[シノアヤコ]
著・文・その他
内容説明
照月堂の主・久兵衛の菓子作りの才に対して、警戒を見せる上野氷川屋の主人・勘右衛門。久兵衛の味を盗もうとしてか、久兵衛の弟子で、先ごろ自分の店を開いたばかりの辰五郎を引き抜こうと、卑怯な策を仕掛けてくる。そんな父のやり方を憂う氷川屋の跡取り娘・しのぶは、友であるなつめや照月堂の皆に顔向けできないと意気消沈していた。なつめは元気を出してほしくて、しのぶとある約束をして―。大人気書き下ろし時代小説シリーズ第四巻。
著者等紹介
篠綾子[シノアヤコ]
1971年、埼玉県生まれ。東京学芸大学卒。第4回健友館文学賞受賞作『春の夜の夢のごとく―新平家公達草紙』でデビュー。短篇「虚空の花」で第12回九州さが大衆文学賞佳作受賞。「更紗屋おりん雛形帖」(2017年第6回歴史時代作家クラブ賞シリーズ賞)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶち
105
友・しのぶとの仲が深まっていく今巻。一方で、しのぶの父の嫌がらせは熾烈です。父のやり口に悩むしのぶを慰めようと、亡き母の思い出の草餅を再現しようと努力するなつめ。その姿に、心根の優しさと共に菓子職人としての成長の跡がうかがえます。久兵衛は新作菓子で更なる高みに登ったようです。それとは対照的な辰五郎の庶民でも楽しめる菓子への想い。二人の菓子職人の行く末が今後どのようになっていくのか楽しみです。伊勢物語や万葉集などの古典に登場する和歌に擬えたお菓子がたくさん登場してくるのも、このシリーズの楽しいところです。2020/09/26
kagetrasama-aoi(葵・橘)
36
「江戸菓子舗照月堂」第四巻。氷川屋の嫌がらせが凄いです!っと言っても別に法律違反をしているんではないから、対抗するにはどうしたらいいのかしら?兎に角辰五郎頑張って。氷川屋の娘のしのぶとなつめの交流は温かくて、読んでいてほっとします。父親のしていることに心を痛めるしのぶ、可哀想です(涙)。しのぶの母の味の草餅を作る話がとっても良かったです。そして了然尼の過去が少しだけ語られました。登場人物のそれぞれの行く末が楽しみです。2021/08/13
ユメ
36
氷川屋の主人が辰五郎に卑劣な手を仕掛け、氷川屋の跡取り娘であるしのぶはなつめたちに申し訳ないと憔悴する。だが、そんなしのぶの誠実さと、互いのお菓子を愛する気持ちによって、なつめとしのぶの友情はかえって深まった。しのぶを励ますため、彼女の思い出の草餅をなつめが再現する一幕も。見目と風味を追求するお菓子作りの面白さに古典を紐解く喜びが加わるのは、和歌に明るい篠綾子さんの本領発揮で、なつめに心を添わせてわくわくできる。なつめが心をこめて作った草餅は、これからもずっと2人の友情の証としてしのぶを元気付けるだろう。2019/03/30
はにこ
35
氷川屋に辰五郎が嫌がらせを受ける。店が立ち行かないことを気に掛ける照月堂の人々。それでもめげない辰五郎は大物だわ。しのぶは好きだけど氷川屋に鉄槌が下されるのを見たかった気も。。なつめは久兵衛から随分信頼を得るようになったなぁ。しのぶに草餅作ったり、日々の努力が窺える。京都に行った安吉のことも出て来た。長門が吉とでるか凶とでるか。2021/02/21
坂城 弥生
34
拝金主義ってきっとこういう人のこと言うんだろうな、と氷川屋のやり方を見て思った。名誉とか金の為に平気で他人を貶めるし、傷つける。なんでこんなクズからしのぶみたいな良い子が生まれたのか…反面教師ってやつかな?2020/10/08