内容説明
きみはいつおとなになったんだろう―繰り返す問いのなかに、子ども時代のきらめきを掬いあげる「あのときかもしれない」。さりげない日々の風景に、世界の豊かさと美しさを書きとめる「おおきな木」。人生のなかで深呼吸が必要になったときに、心に響いてくる言葉たち。散文詩二章三十三篇からなる、幸福な言葉の贈りもの。長田弘の代表詩集。
目次
あのときかもしれない
おおきな木(おおきな木;花の店;路地;公園;山の道;驟雨;散歩;友人;三毛猫;海辺 ほか)
著者等紹介
長田弘[オサダヒロシ]
1939年福島市に生まれる。25歳のとき詩集『われら新鮮な旅人』でデビュー。代表作に詩集『食卓一期一会』などがある。2015年5月永眠(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ねこ
150
詩集。 きみはいつおとなになったのだろう。「あのときかもしれない」の詩が9篇。「おおきな木」が24遍。私はこどもからおとなになる瞬間は1000以上ある所作、対応、思考、など別々にあると感じています。全ての面で大人には成りきれない。もちろん私も今でも子どもを残しています。歩くことの楽しみは失っていないので。この詩集を読むと子どもの頃の思考や感情、肌触りが呼び起こされました。頭の中で過去の回想がいくつも呼び覚まされ懐かしい想いで満たされました。…言葉を深呼吸する。あるいは言葉で深呼吸する。不思議な詩集でした。2023/03/28
breguet4194q
139
繊細な言葉一つ一つに深い思いと広がりを感じます。深呼吸して見える世界。「言葉は一人から一人への伝言。必要なだけの短さで誌された、一人から一人への密かな言葉だ。」この密かな言葉に込められた思いに、著者の自然で素朴で深い洞察力を感じました。2024/08/21
シナモン
106
早く、早く、もっと効率的に…。 いつの間に自分は大人になったんだろう。 忘れてたいくつもの「あのころかもしれない」にはっとする。慌ただしい日々のなかでふと立ち止まって深呼吸。 ゆっくり味わいながら読みました。 💘どこかへなにかをしにゆくことはできても、歩くことをたのしむために歩くこと。それがなかなかできない。この世でいちばん難しいのは、いちばん簡単なこと。2025/03/15
ゆきち
94
〈一万円選書 再読〉わたしは今日のわたしが心底嫌いだ。わたしの調子の悪さを優先して友を傷つけただろうから。考えるだけでわたしが嫌いだ。楽しみにしていた本も手にとりたくない。だからいわた書店さんに選んでもらったこの本を再読した。わたしには必要な本。きみはいつおとなになったんだろう。から始まる『あのときかもしれない』もとても良いが『おおきな木』の『散歩』の一節、歩くことをたのしむために歩くこと。それがなかなかにできない。この世でいちばん難しいのは、いちばん簡単なこと。がとても好きだ。またわたしを好きになろう。2021/04/15
aika
55
おおきな木の下でドングリを拾い、曲がり角で泣きじゃくり、影法師と遊んでいたころの私が案内人となって、長田さんの真っ直ぐな詩の世界へと連れていってくれました。昔は当たり前だったのに、おとなになることで失われていくものをひとつずつ拾い上げていく旅路。今では私自身が持っていないことばかりに目を向け、何かと焦っている「おとな」になったことに気づかせようと、一編ずつの小さな詩が止まり木にとなり、待っていてくれました。そんな「おとな」になってしまった私たちの背中を、長田さんの詩がそっと撫でて、ぽんと押してくれます。2019/06/19
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- 和書
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