内容説明
米軍基地と古い城下町が共存する地方都市、岩国。フェンスの向こうをファントムが飛び立ち、でっかい入道雲が青空にわき上がっていたあの夏。中学二年のモリケンこと森木健一は、幼なじみのノッポ、ムラマサ、転校生のミッキーとともに、ある小さな冒険をしようとしていた。それは彼らが大人になるための通過儀礼だった―。
著者等紹介
樋口明雄[ヒグチアキオ]
1960年山口県生まれ。2008年に刊行した『約束の地』で第27回日本冒険小説協会大賞と第12回大藪春彦賞をダブル受賞。2013年『ミッドナイト・ラン!』で第2回エキナカ書店大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
相田うえお
126
★★★★☆18066 バカばっかりやってて、まだまだガキのまんまの中学2年生男子グループの友情とその周りの話かな。よくありがちな青〜いやつね。この作品は同類作品の中でも引き込まれ具合が凄くて一気に読み終えてしまいました。読み始めから次々とイベント盛り沢山で、さらに、もうページも残り少ないというのに、まだまだ色々なことか起きるので目が離せません。まあ、少々違和感があるとすれば、中2にもなって秘密基地で遊ぶか?まあ、遊んでもいいけどね。遊ぶ奴だっているよね。単なる成長ものではない奥の深い素晴らしい作品でした。2018/08/16
mocha
102
読友さんの感想より手に取る。1973年岩国版スタンバイミー。年齢は私より少し上だけど、基地の町で育ったことや母が遠くの空にきのこ雲を見たことなどは自身の思い出とリンクする。70年代のヒット曲も懐かしい。けどやってることがあまりにもハチャメチャで、クラスの女子の1人になったように「ぶちアホじゃのう」と思いながら読んだ。眩しくて悲しくて、なんて濃い夏休み。10代の頃のあれこれが押し寄せて、大人になる淋しさを追体験する思いだった。2019/01/07
ぽろん
41
読んでいる間中、ボブ ディランの風に吹かれての曲が頭の中に流れていた。K9シリーズ以外の作品は、初めて読みました。ほろ苦い青春グラフティ。答えは全て風の中、ですね。2018/08/30
えみ
19
ボブ・ディランの名曲「風に吹かれて」をBGMに、子供から大人へと変わっていくほんの僅かな煌めく青春を、友情と冒険と恋と…ただただその時の溢れ出す感情を誰かに伝えることに懸命だった日々が達文で描かれた小説。輝く未来と限りない夢を信じて無邪気に笑う少年たちの弾けるような声が聞こえてくるようだった。無理だと分かってはいても、このままこの時間が止まってしまえばいいと願ってしまう時間が確かにあったことを思い出して胸の奥がうずいた。この小説の少年たちも“今”を永遠に願いながら大人へと変わっていく。だから青春は美しい。2019/12/01
shi-
14
山や犬出てこない樋口さんのお話は初めてかも!? しかも中学生の話し…どうだろ?と思いながら不安半分、楽しみ半分で読み始めたけど一気に引き込まれた。 中学生という、大人になりかけた、でもまだまだ子供の日常が自分の中学生時代を鮮明に思い出させてくれる。 最後の最後にあんな悲しい事が起こるなんて、露ほども思ってなかった。 だからこそ、その時のモリケンの感情にはしっかりリンク。 読書中、いきいきと若かりし頃の気持ちで過ごせました。2018/09/16