内容説明
明治三十八年七月。国民が日露戦争の行方を見守るなか、警視庁第一部第一課の電話のベルが鳴った―。殺された帝国大学講師・高島は急進派で日本古来の文化の排斥論者だという。同日、陸軍大佐・本庄も高島と同じく、鋭い刃物で一突きに殺されたとの知らせが…。第一課は、伯爵の孫で探偵の西小路や元新選組三番隊組長で警視庁にも在籍していた斎藤一改め、藤田五郎とともに捜査を進めていくが―。警察小説の第一人者・今野敏、初の明治警察小説。
著者等紹介
今野敏[コンノビン]
1955年北海道生まれ。上智大学在学中の78年に『怪物が街にやってくる』で問題小説新人賞を受賞。卒業後、レコード会社勤務を経て執筆に専念。2006年、『隠蔽捜査』で吉川英治文学新人賞を、08年『果断 隠蔽捜査2』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞を受賞。17年「隠蔽捜査」シリーズで吉川英治文庫賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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papako
73
読みやすい本が読みたくて。楽しかった!明治の警視庁のお話。夏目漱石やラフカディオ・ハーンとか斎藤一とか!知っている名前が出てきて楽しい。舞台は明治、登場人物は違えけど、これまでの今野敏作品の役者たちの物語でした。安積とか黒木とか戸高とかが時代劇をしてるみたい。長州とかドイツ派、フランス派ってところと、なんで高島教師を殺すことがドイツ派転覆につながるのかはわからなかったけど。ま、そんなのは瑣末なことだ。いや、違うはず!何はともあれ、斎藤一に萌えました。2018/08/16
ペグ
70
面白くて、しかも読みやすくて続けて二度も読んでしまった。海外の小説ばかり読んでいたので今野敏氏のことも知らず。あの有名な小説家が黒猫先生という名で出てきたり斉藤一が藤田五郎で登場したり。(個人的に気になっている斗南藩にいたとのこと〜嬉しいし感無量で) 所々に反骨精神が見え隠れ。機会を作って他の作品にも手を出そう。2023/09/29
NAO
63
開国後まもなくの混乱期、ロシアとの戦争で優位にたっているものの日本が西洋の植民地になってはならないとの焦りから、上層部は幾つもの派閥に分かれ紛糾している。日本はどこへ向かっているのか、どういう路線をとるべきなのか。誰もが不安と焦りを感じている中で起きた事件。事件を捜査するのは、サーベルを下げ、薩長組が多い警視庁にあっても伝法な六方詞を変えない鳥居警視、私立探偵を名乗る西小路伯爵の孫、元新撰組組員で今は私立女学校の門番の老人と、新旧入り混ぜての豪華なメンバー。 この時代ならではの雰囲気を楽しめるミステリ。2023/01/22
Die-Go
45
図書館本。明治末期、殺人事件の捜査にあたる警察官達のチームワークを描く。キーパーソンは藤田五郎こと新選組三番組長・斎藤一。今は東京女子師範学校の庶務として働くが、彼の洞察と貫禄が事件を解決へと導いていく。★★☆☆☆2023/04/24
桜
44
「どこ」にスポットを当てているのか解らず楽しめきれなかった(´-﹏-`;) 江戸開国後、海外に良いようにされて無闇に強くなっていく日本。 巡査の岡崎?イケオジ部長の鳥居?イケ爺の斉藤一?? いやいや、探偵を名乗る西小路だろ。黒猫先生って『ヤツ』だよね( ╹▽╹ ) 皆が小出しで、まだ「押し」が見つからず(笑)2024/01/04