内容説明
慶長三年。豊臣秀吉の死後、天下を目論む徳川家康と石田三成との間には、不協和音が広がっていた。島津家は中立な立場を取っていたが、ついに天下分け目の大戦「関ヶ原の戦い」が始まった。石田三成率いる西軍についた島津義弘。東軍と西軍の間で一進一退の攻防が続く中、奮戦を続けていた西軍だったが味方の寝返りにより、東軍に惨敗を喫し敗走を始めた。その結果、島津軍千五百人は退路を遮断され、敵中に孤立することになってしまった。果たして島津家の命運はいかに!!
著者等紹介
天野純希[アマノスミキ]
1979年愛知県生まれ。愛知大学文学部史学科卒業。2007年「桃山ビート・トライブ」で第20回小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。2013年『破天の剣』で第19回中山義秀文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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如水
32
下巻は秀吉死後の利家と家康の会談から。龍伯(義久)の思惑が大爆発?豊臣政権下苦渋を味わった復讐を着々と…てこれ義弘が主役だよね?と思った?分かりやすく言えば義弘を中心とした島津家の動乱を描いてます。上巻はモロ義弘が主役だったんですが。…でも面白かったですよ〜。みんなの個性が強過ぎて。僕は忠豊(豊久)が一番のお気に入りになりました。この本はお気に入りの人物を中心とした読み方が出来るちょっと変わった歴史小説かと。そして薩摩武士の強さの一因がもの凄く分かる…そして第八章『薩摩へ』は大注目な内容です?2018/07/27
yutaro13
29
下巻はいよいよ関ヶ原。60半ばの義弘は猛将っぷりをいかんなく発揮。この時代に85歳まで生きてるんだから凄いわ。そういえば司馬遼太郎の『関ヶ原』では鹿児島弁が上方で全然通じないエピソードが紹介されていた気がするが、本作の薩摩隼人はみんな標準語を話せるので意思疎通は問題なし。チェストとかごわすとかも言わない。西軍に与して敗れたとはいえ島津や毛利は結果的に本領安堵・減封で済み、250年後には徳川に一矢報いることになるからまだよい。たまには不憫な長宗我部さんや宇喜多さんのことも思い出してあげてください。2019/09/05
誰かのプリン
23
関ヶ原からの離脱は凄惨を究めた。 薩摩に帰ってからも御家事情が纏まらず粛正を繰り返す。それにしても忠恒の性格の執拗さは秀忠にも匹敵するのではなかろうか。2018/09/30
わたお
21
上巻とは打って変わって面白かったー。関ヶ原の敵中突破は読んでて鳥肌が立った。それにしても、薩摩はドラマチックなことが何度も起こる国だねー2019/06/04
hrmt
20
関ヶ原で西軍でありながら本領安堵されたのは島津ただ一家だけと初めて知った。その理由が本当に本書のような経緯だったのかどうかはわからないけれど、戦国での生き残りを賭けた島津の戦いは武でも策でも壮絶で読み応えがありました。もしも関ヶ原まで四兄弟が揃っていたなら、歴史は変わっていたのかもしれないなぁ…とか考えてしまいました。2025/09/03