出版社内容情報
明治の夜明けも近い幕末、薩摩藩主島津斉興の世子斉彬と、わが子久光を藩主の座につけたいと願う斉興の愛妾お由羅の方との間に激しい抗争が巻き起こる。薩摩の御家騒動を描く、著者の代表作。
内容説明
明治の夜明けも近い幕末、薩摩藩は激動に揺れていた。藩主・島津斉興の世子斉彬と、わが子久光を藩主の座につけたいと願う斉興の愛妾お由羅の方との間に激しい抗争が繰り広げられたのだ。折しも斉彬の江戸屋敷では、子の寛之助が原因不明の熱にうかされていた。これはお由羅の意を受けた兵道家・牧仲太郎が仕掛けた呪いか?権謀術数渦巻く薩摩の「お由羅騒動」。その顛末を描いた、直木三十五の代表作がいま甦る!
著者等紹介
直木三十五[ナオキサンジュウゴ]
1891年生まれ。1934年没。小説家、また脚本家、映画監督。早稲田大学英語科中退。1923年『文藝春秋』の創刊に参加する。『由比根元大殺記』(1929)、『南国太平記』(30~31)が評判となり、流行作家となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
47
激動の幕末、島津斉彬とお由羅の激しい抗争の物語でした。権謀術数めぐる薩摩の行方と運命はいかに決まっていくのでしょう。下巻も読みます。2022/01/02
花乃雪音
16
幕末、薩摩藩の「お由羅騒動」を軸に呪術と諜報うずまく伝奇小説。島津重豪、斉興、斉彬、久光、調所笑左衛門、対立関係にあった者もいるがいずれも傑物として描かれている。以前、大阪の空堀を歩いていた時近くに記念館があるが直木三十五を読んだことがないと思ったこと、作家の今村夏子氏が芥川賞を受賞した時の「芥川龍之介の本はあまり知りません」というコメントを聞き、直木賞受賞作家は直木三十五を読んでいるのだろうかと素朴な疑問が頭に浮かんだこと、松岡正剛氏が本書を千夜千冊で紹介していたことをきっかけに手に取る。2019/11/08
jjm
12
直木賞の元になった作家の代表作にも関わらずあまりの登録数の少なさに驚く一方で、名著の中にも選ばれているのを見たことがないのも確か。薩摩藩の内紛であるお由羅騒動を題材に、華麗なる一族(嫡男斉彬を疎む父斉興VS祖父に可愛がられた子斉彬)+帝都物語(呪術的要素)+日本の失われた30年(緊縮財政VS積極財政派)+忠臣蔵(多方面での仇討ち)的な雰囲気で読んだ。楽しくてページを繰るのが止まらない箇所と内容が頭にあまり入って来ない箇所があった(個人的に)。そして長い。下巻へ続く。2024/10/21
Fondsaule
11
★★★★☆ 計算されつくした様な最近の小説とは違って、とてもおおらか。話の中身は壮絶な感じだけど・・・ 小説と言うよりは講談に近い面白さだ。上巻は調所の死まで。2018/05/25
suzuki
7
直木三十五は初読み。幕末薩摩藩のお由良騒動を題材とする、戦前に書かれた時代小説で、戦前から戦後にかけてたびたび映像化もされた。 呪術やら、臨場感ある描写の剣劇やら、と戦前の娯楽時代小説の雰囲気を味わうことができる。 ほぼ100年前の文章ながら読みやすいが、時々誰の台詞かわからなくなる時がある。。2022/08/08