内容説明
万次と喜八は、浅草界隈を牛耳っている香具師・丑蔵の子分。親分の信頼も篤いふたりが、理由あって、やくざ稼業から足抜けをすべく、集金した銭を持って江戸から逃げることに。だが、丑蔵が放った刺客たちに追い詰められ、ふたりは高輪の大親分・禄兵衛の元に決死の思いで逃げ込んだ。禄兵衛は、銭さえ払えば必ず逃がしてくれる男を紹介すると言うが―涙あり、笑いあり、手に汗を握るシーンあり、大きく深い感動ありのノンストップエンターテインメント時代小説、ここに開幕!
著者等紹介
今村翔吾[イマムラショウゴ]
1984年京都府生まれ。「狐の城」で第23回九州さが大衆文学賞大賞・笹沢左保賞を受賞。『火喰鳥羽州ぼろ鳶組』(祥伝社文庫)で颯爽と時代小説界にデビュー。2018年、「童神」で第10回角川春樹小説賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
449
今、時代小説を書かせたら一番面白いのではないかと思わせる、勢いのある今村翔吾さんの新シリーズです。簡単に言えば夜逃げ屋本舗の時代劇版ですね。主人公の平九郞は謎に包まれ、敵の「虚」も謎のまま。そして、千羽一家がチラッと…。え、ぼろ鳶組とリンクしてくるのか…。伏線を多く残して、今作が終わりましたので、次作がすごく気になり、早く次作を読みたくなります。そして、平九郞の虜になること間違いないですね。ここに時代小説における新たなヒーローが間違いなく誕生したと思いました。2018/08/01
W-G
411
他の読みたい本が溜まっているのに、どうしても我慢出来ずに、四作目まで一気に購入。これまた、途中で読むのを止めるのが非常に困難な中毒シリーズ。物語の筋立ては、ぼろ鳶以上にシンプル。しかし、濃いキャラ満載で、先の展開が気になって仕方がない。平九郎の井蛙流、主人公の使う技らしからぬ、コピースキルだというのも新鮮。きっとどこかで覚醒チート化するのだろうと期待。解説にもあるように、惣一郎は露骨に『るろうに剣心』。『童の神』のラストも、ハンター×ハンターのメルエムそのままだったり、著者はかなりのジャンプ好き。2022/07/03
海猫
396
裏稼業を描く時代小説はたくさんあれど、この「くらまし屋」という設定は絶妙。一種の逃し屋みたいなもので、チームを組み得意分野を生かしてプロフェッショナルに行動する。このあたりの呼吸が、ケイパーものの犯罪小説や映画に近い面白さ。事態も急変して窮地に陥るのでハラハラするが、予想を超える手口で脱したりするのが痛快。人物の謎や展開の引きがあって続刊をすでに読みたくなる。テーマに池波正太郎的なものを感じはしたけれども、作風はやはり違う。より軽妙で現代的なもののように思う。来月で次巻刊行なのが有り難く、嬉しい。2018/07/18
しんたろー
272
『ぼろ鳶組』にハマったのに図書館待ちなので、他シリーズへ浮気…飴細工師で武術担当・平九郎、居酒屋看板娘で計画担当・七瀬、遊び人の美男子で変装担当・赤也の三人で訳アリの依頼者を逃亡させる「くらまし屋」…三人を始めとして登場人物たちは著者らしい色付けで魅力的、今回ゲスト主役のヤクザたちや終盤に登場した闇の組織の二人なども「役者が演じたくなるだろうなぁ」と思わせる曲者だらけ。『ぼろ鳶組』が陽のエンタメなら、本作は陰のエンタメで、スカッと熱い訳ではないが、テレビ『必殺仕事人』の匂いもあって、先々が楽しみな第1巻。2019/09/17
KAZOO
249
もうすぐ佐伯さんの時代小説シリーズも終わりになりそうな気配になってきましたので、シリーズの時代小説を探していたらこのシリージに出合いました。最初のこの本では、香具師の手下であった二人がやくざな仕事から逃げようとしますが追い詰められ、金さえ出せば必ず逃がしてくれるということでくらまし屋に頼みます。訳ある二人ですが、うまく逃げるもののある事情から香具師の刺客たちとの立ち回りがあります。長編であったとは思いませんでした。あさのあつこさんの弥勒シリーズを思い出しました。刺客が強く楽しめそうです。2022/11/11