内容説明
江戸駒込の菓子舗照月堂で女中として働きながら、菓子職人を目指す少女・瀬尾なつめ。自分よりも後に店に入ったお調子者の安吉が、主・久兵衛のもと職人見習いを始めたことに焦りを感じつつ、菓子への想いは日々深まるばかりだ。そんな折、照月堂に立て続けで珍しい客が現れる。なつめを訪ねてきた江戸市中でも高名な歌人。そして、上野にある大きな菓子店氷川屋の主とその娘である。それぞれの客により、店には驚きと難題がもたらされて―大好評シリーズ、第二巻。
著者等紹介
篠綾子[シノアヤコ]
1971年、埼玉県生まれ。東京学芸大学卒。第4回健友館文学賞受賞作『春の夜の夢のごとく―新平家公達草紙』でデビュー。短篇「虚空の花」で第12回九州さが大衆文学賞佳作受賞。主なシリーズに「更紗屋おりん雛形帖」(2017年第6回歴史時代作家クラブ賞シリーズ賞)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶち
102
2巻目になってぐっと面白くなってきました。それは、主人公のなつめちゃんが、お菓子作りに携わる場面が増えたからだと思います。 そして、1巻目ではとっつき難いと思っていた照月堂の主・久兵衛が、すごく魅力的な人物だということがわかってきました。お菓子に対する厳しさ、真剣さは本物で、自分にも他人にも妥協を許しません。でも、良い案には目下の者の意見でも素直に受け入れる奥の深さを持っています。この主のもとで、なつめちゃんがどのように成長していくのか、楽しみになってきました。2019/12/04
ユメ
49
女の身でありながら、菓子職人を志すなつめ。その足どりは遅々たるものながら、一歩一歩確実に前進している。今作で彼女が考案した菓子〈菊のきせ綿〉が湛える詩情にうっとり。篠綾子さんらしく、和歌の引き方も光っている。菓匠や菓銘を生み出すことに関して抜群のセンスを持つなつめが、実際に菓子を作る腕を磨いていったらどうなるのか。ヒロインの前途を応援せずにはいられない。照月堂の大旦那と旦那である市兵衛と久兵衛親子の菓子作りに対する厳格なまでの真摯さには、すっと背筋を正された。なつめは良い師を持ったと思う。2018/04/06
ぶんこ
47
前作をすっかり忘れているようで露寒軒さん?照月堂の市兵衛さん以外の皆さん温かくて情深いことに驚きつつ、ほっこりしました。安吉に対する心遣いは、なかなかできるものではないでしょう。素晴らしい。浮ついたところが感じられたなつめさんが、だいぶ落ち着いてきて努力家になってるのも嬉しいです。てっきり菊蔵さんが行方不明のお兄さんかと思ってましたが、違うようですね?続きが楽しみです。2018/06/19
kagetrasama-aoi(葵・橘)
41
「江戸菓子舗照月堂」第二巻。なつめが働いている照月堂が、上野にある大きな菓子店氷川屋に難題を突き付けられます。その原因となったのは、前巻の終わり頃登場した安吉。この男の子好きになれない、というより嫌いです。こういうお調子者でいい加減な人物を愛情で更正させる展開なのかしら?さっさと退場させてさつきの話を進めて欲しいです。照月堂と氷川屋の重陽の節句の菓子の競い合いは読みごたえありました。2021/07/27
坂城 弥生
32
前作で安吉に反感をもったせいで間が空いてしまったけど、了然尼さまたちの温かさがやっぱりいいな、と思った。2019/11/06