内容説明
世界的な有名スパイの意外な好物、戦時中の電極パン、ベルギーのショコラ、南米のスコッチなど、最高の食と酒から、ゲテモノまで、一度は味わいたい逸品の数々。行動する作家として世界中を旅した開高健による、傑作エッセイ集を新装版にて刊行。
目次
美食文化論(スパイは食いしん坊;大震災来たりなば;ピンからキリまで ほか)
グラスのふちの地球(地球はグラスのふちを回る;ウイスゲ・ベーハー序章;やっぱり地球は回っている ほか)
巷の美食家(鯨の舌;影を剥がすと家がこわれる;巷の美食家たちは厚いものを食べる ほか)
著者等紹介
開高健[カイコウタケシ]
1930年大阪府生まれ。大阪市立大学卒。寿屋(現・サントリー)宣伝部時代の58年『裸の王様』で芥川賞受賞。68年毎日出版文化賞、79年川端康成文学賞、81年菊池寛賞、87年日本文学大賞をそれぞれ受賞。1989年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Aya Murakami
61
アマゾン購入。ハルキ文庫グルメフェア。 眠れない夜に読んだセキフェという豚の胎児のお刺身の話と重曹入り電極パン(だったかな?)の話が特に印象に残った。目玉の触感が極上なセキフェはマドマギコミカライズのアレですし、お料理に重曹といえば愛のエプロンのエチケットタイム(本当は強い仮面ライダーの映像をお楽しみください)ですし…。後、カドミウムや水銀の話は公害の話ですね。本書の時代背景はいつのことだろう???2025/05/17
DEE
15
食をテーマにしたエッセイ集の新装版。もちろん既読のものもあるが、読み直してもやはり唸らされる。 「男にとって思い出以上の酒の肴はあるまい」。こういうセリフをさらりと言っていやらしく聞こえない。さすがである。 この本はやはりちびちび飲みながら、ひとり夜ふけに読みたいところ。2020/04/25
本の蟲
9
開高健による食エッセイ、というか酒エッセイ。スパイ小説や古典文学における食の描写に始まり、仲間とやってみた戦中の食事再現会。ゲテモノ料理。日本全国津々浦々、西洋に東欧、北米から南米にアジアまで。あちこち出歩いた現地での酒と飯、時折美食。池波正太郎のエッセイもそうだが、さすが昭和一桁生まれの作家。交流のある文豪たちとの会話も美食、女、そして酒、酒、酒というあたり時代を感じさせる。食に好悪あれど貴賤なしと述べていて、自分の好みをはっきり書いている。コメント欄に多少尾籠な話題を続けるので、食事中の方はご注意(続2022/11/07
ao
7
食に関するエッセイの総集編。開高健は色々な小説家のインタビューを読んでいる中で何度も出てきた名前だったので、いつか読んでみようと思っていた次第。やはりというか文章はスゴイ。味覚とは舌に感じる刺激のみにあらずと知る。香りや味と同じくらいシチュエーションも大事だし、食した自分が感じたイメージのようなものもある種の「味覚」と言えるのだろう。甘さを幼稚、ほろ苦さを幽雅と評する一文は非常に印象的だ。著者の言う「ウマイ」の中には必ず作り手の食に対するひたむきさを感じ取る場面があるのが良い。2018/10/18
ぶらしゅうへい
4
エッセイの中にしっかり開高健がいる2018/03/09