出版社内容情報
人生はつまるところ、誰と食卓を共にするかということではないだろうか。
内容説明
美味しそうなにおい、色、音で満ち溢れた幸福な料理と生きることの喜びが横溢する、食べものの詩六十六篇。
目次
台所の人々(言葉のダシのとりかた;包丁のつかいかた ほか)
お茶の時間(テーブルの上の胡椒入れ;何かとしかいえないもの ほか)
食卓の物語(ユッケジャンの食べかた;ピーナッツスープのつくりかた ほか)
食事の場面(ラ・マンチャの二人の男;ミスター・ロビンソン ほか)
著者等紹介
長田弘[オサダヒロシ]
1939年福島市に生まれる。25歳のとき詩集『われら新鮮な旅人』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
97
人間と食事は切り離せない。冒険中も、物語の中でも、戦争中も。言葉と料理もいつでも一緒。料理は人間の言葉、言葉は人間の食べ物だ。詩という言葉の料理を通じて、こころの贅肉を削ぎ落とす。そう、自分自身の言葉でね。ドーナツ、クロワッサン、キャラメルクリーム、ユッケジャン、ブイヤベース・ア・ラ・マルセイエーズ、ハックルベリー・フィン風魔女パイ、テキーラ、天丼、シャシリック、そして言葉の揚げ方と言葉のダシのとりかたで、仕上げましょう。言葉の食卓を共にさせて頂きました。ごちそうさまでした。2020/11/05
けんとまん1007
63
毎日、基本的には3食の出会い。同じようでも、全く同じということはない。料理そのものもあるし、素材そのものも、同じようで違う。そのうえ、種類も多い。自家菜園で野菜を作っているので、「そうそう、そうなんだよね~」とか「そっか~、そんな一面もあるよなあ~」とかの連続。知らない料理は、ついつい調べたくなってしまうが、長田さんの詩から感じ取るのもいいなあ~。2023/02/10
つねじろう
62
たまに小説を読んでいてもあらすじだけ追いかけてしまったり同じ段落を何度も読んでしまったり心ここにあらず状態に陥る時がある。そんな時のお薬は詩集。最近は長田弘がお気に入り。スランプ時にぴったり。基本美味しそうな料理が次から次に出てくる。そりゃ詩人が作る料理だから一筋縄ではいかない。でも読み手の好奇心を妙にくすぐり不思議な香辛料や下味が効いてたりしてサボっていた五感がムキムキ復活して無性に食べたくなったり作りたくなったりする。中でも最初の言葉のダシの取り方やこの天丼や絶望のスパゲティは是非チャレンジしたい。2018/07/04
野のこ
41
詩は馴染みがなかったけれど、読友さんのレビューで気になって読んでみて良かったです。楽しめました。ごく短いショートムービーと言うか小さな芸術作品のよう。「食卓への人生を急がずたっぷりと味わいたい」というまなざしは言葉も料理のように比喩され、きみの存在を確かめながら、香りや音、彩りが伝わり、そうした豊かな発想から作られた一期一会な食卓になる。 ピーナッツスープ、 アップルバターの作り方が気になりました。 2018/02/11
橘
24
とても素敵な詩集でした。食べるとはこんなにも幸福な事なのだなと思います。詩集ですが、レシピ本のようでもあります。今度絶望したら「絶望のスパゲッティ」を作りたいし、「パイのパイのパイ」は最後まで忠実に実行してみたいです。最後の詩の「食いものは上機嫌に変えなくっちゃいけねえ。」という言葉にはっとしました。大切にしよう。江國香織さんの解説も好きです。良い本でした。2018/05/27