内容説明
一九五六年師走。博多の町は、西鉄ライオンズの大下弘や稲尾和久らの活躍で掴んだ日本一の余韻にまだ酔っていた。そんなある日、地元紙の記者・木屋淳二の元に、田宮と名乗るヤクザがやって来た。西鉄をクビになったばかりの川内と中洲の娼妓・双葉が駆け落ちをしたという。木屋は弟分のような川内を心配するが…。「史上最強のスラッガー大下弘」と「伝説のやくざ」そして「普通の記者」の仁義と熱き人情を描き切り、各紙誌でも大絶賛された圧巻の長篇デビュー作、待望の文庫化。
著者等紹介
平岡陽明[ヒラオカヨウメイ]
昭和52年5月7日生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。出版社勤務を経て、2013年、「松田さんの181日」で第93回オール讀物新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
171
前から読友さんに強くオススメいただいていた作品で、やっと読了できました。タイトルが絶妙ですが、逆にタイトルが読み手を意図せず変に限定しちゃってるかなと。'ライオンズ'といえば西鉄となり、野球ファンにはたまらないながらも、野球に興味のない人は手にとらなくなってしまいそうです。しかし、本作は単純に野球だけの物語ではなく、男の友情を中心に、あらゆる人生の歩み方、任侠ならではの世界と人情の大切さなど、胸を熱くする描写にページを捲る手が止まりませんでした。でも、やっぱり1958年の話はさすがにピンとこなかったかな。2019/11/21
しんごろ
168
単行本で読みましたが、文庫化に伴い再読しました。野武士軍団と言われた西鉄ライオンズ三連覇の頃の話!選手は実名、西鉄ライオンズ史を追いながら、物語は進んでいきます。再読していて、わかっているのにもかかわらず、またしても要所要所で泣かされ、圧倒的なラストは涙が止まりませんでした。道は違えど田宮の生き様に、ただただ涙を流すだけ(T_T)木屋さん、田宮のぶんまで幸せになってほしいですね(^-^)そして、西鉄ライオンズ三連覇の時代をすごしてみたかったですね。2017/10/04
いこ
116
時は、まだ戦後。戦災に泣く福岡市民のために創られた西鉄ライオンズ。その本当の歴史に絡めて物語は進んでいく。1956年のある日、西鉄の番記者木屋の元へ、兄貴分の店の娼妓と駆け落ちした元西鉄選手を追うヤクザの田宮が訪れる。最初は反目しあう木屋と田宮だったが、不思議な縁により、やがては「兄弟」と呼ぶにまで至る。出自も肩書きも異なる二人の熱い友情が語られる場面では、抑えきれず何度も落涙した。他にも西鉄のスター選手大下と孤児院の子供達とのふれあいの場面など、落涙ポイントが満載。野球ファンではない方にもお薦め。 2021/01/09
ポチ
65
西鉄ライオンズが全盛期で博多が盛り上がっていた頃。ライオンズ好きな任侠道を守り抜く、熱いヤクザと運動部の新聞記者の出会いから別れを粋に綴っています。お互いを認め合ったこの2人の友情はいいなぁ!いい本です。2018/01/21
Akira
54
★★★★ ものすごく面白く良い本なのに、読メの登録件数みて唖然。タイトルで損してると思う。生粋に野球ファン、特にライオンズファン以外はなかなか手に取りづらいのでは?初平岡さん。推しの読み友さんの気持ちがよくわかる。デビュー作と思えない巧みな構成と筋の通った物語り。それぞれの生き様に何度も目頭を熱くした。野球ファン以外にも是非とも読んでもらいたい良書!2019/10/07