内容説明
八丁堀天神小路の煮売屋「天神屋」では、煮しめや刺身や鍋焼きを肴に二、三合の酒を飲み、百文余の値でくつろぎのひとときを楽しめる。四年前から店主の小五郎が一人で営んでいる小さな店だが、その料理は評判よく、界隈のおかみさんたちも惣菜を買いに来る。小五郎は何も語らないが、西国の大名に仕えていた元武士で、武芸の腕も立つと噂されている。そんなある日、小五郎は、博奕打ちの旦那に暴力を振るわれている女を助けたことから、事件に巻き込まれていく。人気作家による、待望の書き下ろし最新シリーズ、ここに開始!
著者等紹介
辻堂魁[ツジドウカイ]
1948年、高知県生まれ。早稲田大学文学部卒業後、出版社勤務を経て、執筆活動に入る。2016年、「風の市兵衛」シリーズ(祥伝社文庫)で、第五回歴史時代作家クラブ賞シリーズ賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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やま
91
天神小五郎 人情剣1作目 2017.06発行。字の大きさは…小。 字が小さいので読むのに苦労しました。 3話からなっています。 煮売屋・天神屋の店主の小五郎が凄腕なのです。 人情味あふれる、その動きは凄みがあります。 小五郎の前身は、なんと元赤穂浅野家の生き残りの武士の倅であった。そのため、仕官先を失い煮売屋を開きます。 次作が楽しみになります。2019/07/18
とし
83
天神小五郎 人情剣 一巻。派手でもなく明るくもなく影の薄い感ある主人公天神小五郎、なんだかんだと事件に巻き込まれていくのか、お節介なのか次巻も読みたくなりますね。2019/06/11
優希
42
愛を感じる時代小説と言えますね。元武士の小五郎がひっそりと惣菜屋をやっているのが優しさを感じます。夫の暴力を振るわれる女性を助けたことで事件に巻き込まれるのは宿命とでも言いましょうか。人情が故の災難の空気が漂うのが味わいだと思いました。2024/04/08
真理そら
25
35年も仇を追い求めすっかり年老いた武士と、すっかり年老いた仇。この仇討もグッとくるものがあるが、討ち入りしなかったために「不忠」の汚名を背負って生きなければならない元赤穂の家臣の切なさにもグッとくる。びっくりするほど死体が転がる話なのにこの作者にかかると抒情的で切ない。2018/08/14
のびすけ
24
侍を捨てて江戸へ下り、八丁堀天神小路で煮売屋「天神屋」を営む小五郎。一流の料理人の腕を持ち、多くを語らないクールな小五郎がめっぽう格好いい。事件に巻き込まれた小五郎は、包丁を刀に持ち替え悪を斬る!少し頭の弱い徳市と老犬の角蔵が物語にいい味わいを出している。徳市と茶汲み娘のお千勢とのお決まりの掛け合いが微笑ましい。辻堂魁さんはどのシリーズもキャラクター設定が絶妙で、安定して面白い。2022/03/27