出版社内容情報
港町N市にある酒場「ブラディ・ドール」。店のオーナー・川中良一の元に、市長の稲村からある提案が持ちかけられた。その直後、弟の新司が行方不明になっていることを知った川中は、手掛かりを掴むために動き出す。新司は勤務先から機密事項を持ち出し、女と失踪している事が判明した。いったい弟は何を持ち出したのか!?そして黒幕は――。ハードボイルド小説の最高峰が、ここに甦る。シリーズ第一弾!!
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
171
現代では、ありえないほどの銃撃戦。カーチェイス、船を駆使して海上での戦い。現代なのに、まさにそれは荒野だよ。いや、現代だけど別世界の現代なのか。川中良一、弟のせいで、ここまで大事になると誰が思ったか。きっと思わないはずだ。それにしても、川中はワイルドターキー呑みすぎだ。肝臓を悪くするぞ。ワイルドターキーは置いといて、激しい戦いがあっても、まだ川中には、戦う術の引き出しを多く持ってそう。次作も楽しみだ。それにしても人が死にすぎる。2023/04/11
KAZOO
121
北方さんのこのシリーズは3回目です。日本のまさしくハード・ボイルドで最初の頃はかなり入れ込んで読んでいました。チャンドラーやハメットと比較すると主人公がしゃべりすぎの感はありますが、楽しめます。人がよく死にます。地方都市(静岡の沼津らしきイメージですが)での出来事で市長、暴力団、企業などが絡んでいます。2018/06/28
おしゃべりメガネ
81
遂に満を持してのこちら北方先生のどストレートなハードボイルドシリーズが幕を明けます。なんといっても昭和60年(1985年)に書かれた作品なので、時代の古さは当然ですがそんなコトは全く気にならないくらい次から次へと色んなコトが起きていきます。主人公「川中」は酒場『ブラディ・ドール』のオーナーでかなり謎めいています。ハードボイルドでありながら、サスペンス、アクション、バイオレンスとなんでもありな本作はきっと今の時代だとなかなか陽の目をみない作品かもしれませんね。話自体は正直どうでもよくなってしまいました。2024/09/12
Shintaro
71
読友さんのゴリ押しで、北方謙三初読み。大藪春彦や大沢在昌は読んでいたが、物心ついた頃は北方謙三、既に歴史物や人生相談に転じていて、読む機会を失っていたのだった。いざ読んでみると懐かしや。滅びの美学や死人の多さ、喫煙率、酒気帯び運転、銃刀法違反など当時のお約束がテンコ盛り。引金は躊躇なく引くくせに、女性を押し倒すときは躊躇するんだな、北方。そして大切な人が死んでいく。そんなアンタにはロマンチックな愚か者の称号を捧げよう。全盛期のハードボイルドを堪能しました。その作風が滅びていくのも、また美学なのか。2016/10/01
Take@磨穿鉄靴
67
北方氏。いよいよブラディドールシリーズに手を出す。と言うより以前何も知らずに「ただ風が冷たい日」を読んでしまいいつかシリーズの最初から読もうと思っていた。やはりしびれる。平成の終わりの今ではこの世界観は完全にファンタジーになってしまった感はあるけど悪くない。p259「どこまで知っている?」四度目の問いかけだった。「え?」キドニーが言う。答える彼女はもういなかった。信号が青に変わった。(抜粋)なんでもないシーンだけどこの描写が特に好き。美津子。切なかったなあ。★★★☆☆2019/03/23