内容説明
江戸の町は、江戸大絵図に由来して、町奉行所支配の黒引内と関東郡代支配の朱引内とに二分されている。朱引内は、奉行所の目が届くことがない上に役人の駒不足もあり、まさに無法地帯。悪の温床と化していた。黒引内の御家人・片桐新九郎は、それを了としない奉行所から、隠密裏に朱引見廻役を命ぜられた。ある日、新九郎は“夜鴉”と名乗る黒装束の盗人一味が、残虐なやり口で連続強盗を働いていることを知る。かねてより悪名高いやくざ一家の調べにあたっていた新九郎は、その非道な手口から、“夜鴉”一味との繋がりを疑って―。朱の江戸にはびこる巨悪と闘う御家人の活躍を描く、書き下ろし時代長篇。
著者等紹介
吉田雄亮[ヨシダユウスケ]
1946年佐賀県生まれ。雑誌編集者を経てフリーライターに。ノンフィクション、コミック原作、実録小説を手がけ、映画化、テレビ化作品も多数。2002年「裏火盗罪科帖」シリーズで時代小説作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぶんぶん
22
【図書館】なかなか面白い設定だと思います。 大目付配下の隠密廻り・御家人・片桐新九郎、日常は「ぼて振り」で探索に精を出す。 この新九郎、腕は直心影流免許皆伝、夢想流棒術皆伝の腕前。 夜盗「夜鴉」の後を追う、一網打尽の策を練る。 面白い、ちょっともたつきがあるが剣は豪快、凄まじいものがある。 江戸の風景と情緒が心地良い、登場人物に関連性が今一つだが、その世界観は良いものを出している。 続きが楽しみだ。2021/11/27
ソババッケ
3
江戸には町奉行が管轄する黒引き内と、その外側を帯状に取り巻く朱引き内との区画がある。黒引内は町奉行所が目を光らせ、それなりに治安は維持されていたが、その外側は関東郡代や街道を管轄する道中奉行、関東取締出役(八州廻り)の担当で、人手不足もあり乱れに乱れていた。その無法地帯を取り締まるべく、隠密廻りが組織された。40石2人扶持の御家人・片桐新九郎はその隠密廻りに取り立てられ、密かな探索活動が始まる。着眼点はよかったのだが、物語の展開に魅力に欠けてしまった。「鞘番所」に続く出来に期待したのに・・・残念。★3.02013/09/26
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