内容説明
異風者(いひゅもん)―九州人吉では、妥協を許さぬ反骨の士をこう呼ぶ。人吉藩の下士・源二郎は、周囲に嘲笑されながらも“異風”を貫き、類まれなる剣才で、藩内に地位を築いていく。折しも藩は、守旧派と改革派の間で政争が生じていた。守旧派一掃のため江戸へ向かう御側用人・実吉作左ヱ門警護の任についた源二郎だったが、それは長い苦難の始まりでもあった…。幕末から維新を生き抜いたひとりの武士の、執念に彩られた一生を描く長篇時代小説、待望の新装版。
著者等紹介
佐伯泰英[サエキヤスヒデ]
1942年、北九州市生まれ。日本大学芸術学部映画学科卒業。71年より74年末までスペインに滞在、闘牛社会を取材。以後、スペインをテーマにしたノンフィクションを発表。1999年、初の時代小説『瑠璃の寺』(文庫化に際して『悲愁の剣』と改題)を発表後、次々と作品を執筆、時代小説の書き手として高い評価を得ている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ともくん
27
明治五年。 時代の遺物と化した、仇討ちを成した老人。 名は、数馬源二郎。 三十五年の長旅の末に、首を討った。 何故の仇討ちか。 どのようにして討ち取ったのか。 そして、源二郎の生涯とは何だったのか。2023/12/06
laptop
2
どこでどう人の運命が決するかわからない。そしてその運命が幸か不幸かも結局わからない。わからないけど、なんか生きてるんだろうな。2022/08/28
犀門
2
No.018★★★☆☆新刊本の合間、佐伯泰英作品で何が面白い本はないか?と図書館の佐伯棚を物色していて発見。ふむ。結果、新撰組 土方さんの話を興味深く読んだのだった。2022/02/24
陽ちゃん
1
佐伯さんの初期の作品だそう。食べるために婿入りした家の家族が藩の派閥争いの結果、殺害されたために仇討ちの旅に出た侍が仇討ちを果たすまでの物語。 ラストが切ない。2018/01/05
なあちゃん
1
実際の事件から発想されたと思われる、九州、人吉の反骨の侍、異風者の人生。 35年にわたる、仇討人生。 何とも、過酷、かつ理不尽なことが多い。2013/07/11