出版社内容情報
*深いかなしみ、落とします!!*
*秘めた想い出、蘇らせます!!*
内容説明
着物の染み抜き、洗いや染めとなんでもこなす着物の始末屋・余一は、職人としての腕もよく、若くて男前なのだが、人と深く関わろうとしない。一方、余一の古馴染みで、柳原土手の古着屋・六助は、難ありの客ばかりを連れてくる。余一の腕を認めながら、敵対心を燃やす呉服太物問屋の若旦那・綾太郎。朴念仁の余一に片思いをしている一膳飯屋の看板娘・お糸など…。市井の人々が抱える悩みを着物にまつわる思いと共に、余一が綺麗に始末する!!人情味溢れる筆致で描く、連作短篇時代小説。
著者等紹介
中島要[ナカジマカナメ]
早稲田大学教育学部卒業。2008年、「素見(ひやかし)」で第二回小説宝石新人賞を受賞。若き町医者が描いた初長編『刀圭』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とし
150
着物始末暦 「しのぶ梅 」1巻。3巻を先に読んでいたので1巻を読み終えて、主要登場人物が、きものの始末屋主人公余一と、着物を介してどの様に関わっているのか、4つの物語の中で書かれていて良く判った。人の思いを誰よりも感じる事ができる余一さん良いですね~。72015/02/12
藤枝梅安
121
役者顔負けの色男・余一は着物始末をする職人。余一に一目ぼれした一善飯屋の娘・お糸。この二人を巡る人情謎解き噺。冒頭の「めぐり咲き」は人物紹介や状況説明が多く、やや読みにくい印象だったが、次第に登場人物の関係がくっきりとしてきて、読みやすくなる。無愛想な余一だが、仕事の腕と着物に対する愛情は人並み外れている。お糸の幼馴染・おみつが奉公する紙問屋「桐屋」の娘・お玉は嫁ぎ先が決まっている。それが呉服問屋「大隅屋」の若旦那・綾太郎。高田郁さんの「みをつくし料理帖」の後、若い読者が好みそうな中島さんの新シリーズ。2014/09/20
小梅
119
着物を始末する…昔の職人は分業制だったが、余一は洗い張りから染め直しに仕立て直し全てを一人で手掛ける腕の良い職人である。着物の事が勉強になります。表題の「しのぶ梅」が特に良かったです。このシリーズ良い!長く続いてくれる事を切に願う。2014/10/17
もんらっしぇ
118
着物などにはまったく興味がない私(汗 それでも高田郁さんのあきない世傳を読んでいると生地とか着物にも少しは愛着が湧いてきますw そういえば高田さん推薦の本作、長く積読でした~読まねば!着物の始末屋余一を中心に様々な難題の絡んだ糸をほどいて染めて仕立て直す顛末の物語。とはいえ、真のテーマは一膳飯屋の看板娘お糸の一途な恋心ではないでしょうか?美女で尚且つ素直な良い娘だが強情というキャラ設定。一方余一のクールで頑なな態度はよほどの訳アリだと推察。この愛情物語「結ばれる」日は来るの?いったい何巻目ですか?w 2019/11/04
優希
71
着物をめぐる物語なんですね。二枚目だけど着物のことばかり考えている余一。着物の始末屋を生業としているのはまさに着物王子ですね。彼に一途に想いを寄せるお糸との関係を軸にしながら、市井の人々の抱える悩みを着物への想いと共に解決しますが、若干渋めですね。ただそれが、着物を通じて人が触れ合っていく物語に奥深い魅力を感じさせます。縦糸と緯糸のような人間模様がどのような着物の物語に紡がれていくのかに惹き込まれました。着物に対する感情の抱き方は今も昔も同じなんですね。2015/03/14