内容説明
桜の季節を迎えた江戸。金座裏では宗五郎一家の飼い猫・菊小僧が姿をくらます騒ぎが起きていた。そんな最中、今度は同心の寺坂穀一郎が、失せ人探しへの協力を要請しにやってきた。畳奉行早乙女家の次男・芳次郎が、徒目付神藤家のお彩との祝言を前に突如失踪したというのだ。かつてお彩が婿にとった先の二人は急死しており、芳次郎の身にも何かが―。二つの失踪事件を追う政次たちの前に、さらなる衝撃の事実が立ち塞がる!大好評書き下ろし時代長篇、待望の最新刊。
著者等紹介
佐伯泰英[サエキヤスヒデ]
1942年、北九州市生まれ。日本大学芸術学部映画学科卒業。71年より74年末までスペインに滞在、闘牛社会を取材。以後、スペインをテーマにしたノンフィクションを発表。1999年、初の時代小説『瑠璃の寺』(文庫化に際して『悲愁の剣』と改題)を発表後、次々と作品を執筆、時代小説の書き手として高い評価を得ている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤枝梅安
49
シリーズ21作目。金座裏の猫「菊小僧」が家出した。それと時を同じくして、同心・寺坂穀一郎の甥にあたる若者が姿をくらました。寺坂の依頼を受けた金座裏の面々は探索を始める。複数の事件が並行して起こるのは現実味があるが、それぞれの展開が想定内に留まり、探索の方法もマンネリ感が否めない。私はこのシリーズに奇抜な趣向を求めている訳ではないので、金座裏とそれにかかわる人々の生活ぶりを温かく描いてくれればそれでいいのだが。なんだか中途半端な読後感が残念。2012/12/12
ドナルド@灯れ松明の火
34
鎌倉河岸も早21作目なのか。珍事というだけあって、愛猫菊小僧の家出とおみつの心労。同心の寺坂の親戚芳次郎とお彩さまとの結婚前に芳次郎が行方不明に。2つの事件に平穏だった金座裏の面々が捜査にあたる。謎も軽く読み易い。又しばらく待たねばならないのにあっという間に読了。むじな長屋で一緒に育った彦四郎も晴れてお駒と子供のおかなと所帯を持つし、亮吉もお菊との距離が縮まり春がもうそこまで・・・。2013/01/15
kazu@十五夜読書会
23
今回の二つの失踪は、失せ人探しは、政次のきれのいい啖呵で、悲しい結果にならず無事解決。菊小僧の失踪にオロオロの女将さんおみつが、菊小僧とともに表紙に登場!菊小僧は、事件に関係なく単なる冒険?彦四郎に続き、成長の無い不器用な亮吉にも、春の訪れでめだたしめでたし。次巻で、赤ちゃん誕生かな?2012/11/23
タカシ
18
結婚前の婿の失踪事件を追って鎌倉まで。猫の菊小僧も失踪。失踪事件の謎はそれなりでしたが事件としてはあっさり解決。つけたしで2つ事件があったけどページ合わせかな。ちょっと盛り上がりに欠けたかな。次巻に期待。2014/07/15
KAZOO
17
今回は猫を含んでの失踪関連の事件です。時たまこのような猫などを使っての作者のサービスがあります。そうしないといつも事件ばっかりだと面白くないのでしょう。市井の生活を含めてうまく読者を離さない心づもりがあります。2013/12/25