内容説明
南町奉行所同心の柳川卯一郎と岡っ引きの梅吉は、筆頭与力の鵜飼から、十手持ちでありながら、博徒ややくざ者を子分として抱えて、岡場所や賭場を取り仕切っている谷中の権蔵を失脚させるための密命を授かる。奉行所の実力者からの密命が意図するものとは?(「秋風の密命」)。妻の操は、卯一郎の初恋の女性・志乃に縁談が持ち上がったことを知った夫の動揺に気付く。志乃の嫁ぎ先の同心・浮田の行状に不安を持つ卯一郎は、権蔵の賭場で浮田を見つける。そして鵜飼からの密命に絡む大事件へと発展していくことに…(「贋博打」)。柳に風の卯一郎が、正義遂行のために大きな一歩を踏み出す!大好評シリーズ第五弾(全四話収録)。
著者等紹介
早見俊[ハヤミシュン]
1961年、岐阜県岐阜市に生まれる。法政大学経営学部卒業。会社員を経て作家活動に入る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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とし
49
八丁堀夫婦ごよみ「秋風の密命」5巻。操さんのやきもち、卯一郎さんの初恋の人の思いいれが、小さな諍いやズレにはなるが結局はお互いの絆を深めましたね、美佐の初恋がありつたりと柳川家の日常が綴られていて良いですね。2015/09/10
むつこ
18
シリーズ第5弾。先妻の子供たちとはお互いにいたわりあう本当の親子になりつつあるのに、夫の初恋の相手にまだやきもちをやく操がかわいらしい。今回は娘の美佐の初恋があり、子供たちの成長が愛らしい。登場人物の印象がそのまま裏切らずに進むので穏やかなラストに安心する。同心の仕事から何事もなく無事帰宅する日々を願う操と同じだろう。2014/12/03
玲@灯れ松明の火
7
八丁堀夫婦ごよみ第五弾。こちらは図書館なので、巻数バラバラに読んでます。卯一郎の初恋の人志乃さんが出て来て、操の心は落ち着かない。小さな擦れ違いでぎこちない二人もまた、絆を強めるためには必要なんですね。そして、美佐ちゃんの初恋。そして、元世話になっていた親分の権蔵の処分を筆頭与力の鵜飼から受ける。等々盛りだくさんの短編集でした。2014/01/08
ダイアナ
2
シリーズ第五弾。ここに来て、物語がグッと動いたような。筆頭与力から密命を授かった卯一郎。卯一郎と初恋の相手との仲を疑う操。お役目と夫婦の問題が絡んでぎくしゃくする柳川家。そんな中救いなのはやっぱり子供たち。怪我をしたところを助けてもらった美佐の初恋話「幼な恋」がワンクッションとなり読了。夫婦の絆も強まったところで次に持ち上がるのは出世問題?ますます面白くなってきた。2018/06/26
M2
1
全体の話としてはもう少し意外性が欲しかった気が。志乃さんの再婚相手もどうみてもダメダメ男だけど実は案外…とか。卯一郎の志乃さんに対する気持ちがなんかすっきりしない。もっと割り切っている人だと思ったのに、なんていうのは私が卯一郎に夢を見すぎているのかも。それでも気持ちの行き違いとか小さな諍いとかそういうのも夫婦や家族を形作っていく上で必要なんですよね。美佐ちゃんは微笑ましいです。 2012/12/11